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面接 3


 それからしばらくして再び部屋の扉が開いた。

 

「皆様、お待たせてしてすいません。 これより面接を開始致します、名前を呼ばれた方は私について来て下さい」

 

 現れたジェイムズさんが徐に5人の名前を呼ぶと、呼ばれた人達は大きな声で返事をして部屋から退室して行った。

 

 

「は、始まったわね。 みくちゃん、どっちが受かっても恨みっこ無しよ??」

 

「えっ?? い、いえ……私なんかじゃ絶対に受かりませんよ。 

 アピール出来る所なんて一つも無いし……バイトだってした事ないですし」

 

「あら、先生はそんな事気にしないわ。 司先生は人の心を見る人だからね」

 

「こ、心ですか??」

 

「ええ、だからみくちゃんが選ばれる可能性だって大いに有ると思うわよ?? 少し話しただけだけど、みくちゃんが素直で純粋な女の子なのは私にだってわかったもの」


「そ、そんな事ないですよ」

 

 ゆきさんの言葉に私は自分の顔が熱くなったのを感じた。

 

 こんな綺麗な人に言われてるのに、少しも嫌な感じがしないのは、ゆきさんの人柄あっての事なんだろう。

 ゆきさんは私の目を見て優しく話してくれる。

 

「やっぱりみくちゃんは可愛いわね。

 そうだ!! 良かったら連絡先教えて貰っても良いかしら??」

 

「い、良いんですか?? お、お願いします!!」

 

 私は直ぐにスマホをポケットから取り出して、ゆきさんへ連絡先を教えた。

  


 や、やった!! 高校生になって買って貰ったスマホに初めてお父さん以外の連絡先が出来た!! 

  


「ふふっ、そんなに喜んでもらえるとなんだか私まで嬉しくなるわね。 本当は面接終わった後にでも、もっと色々話したいんだけど今日はどうしても外せない用事があるの。

 だから今度良かったらご飯でも行かない??」

 

「ぜ、ぜ、是非!! よ、よろしくお願いしみゃす!!」

 

「あははっ、本当に可愛いわ。 このまま連れて帰りたいくらい」

 

 盛大に噛んでしまった私を、軽く抱き寄せゆきさんは大声で笑う。

 

 ……は、恥ずかしい。

 こう言う時にちゃんと話せたら良いんだけど。

 で、でも、ゆきさんがこんなに笑ってくれたんだからこれはこれで良かったのかも。

 

 


 その後も私達は他愛も無い話で盛り上がった。

 初めて会った気がしないくらい、ゆきさんとの会話は楽しかった。


 そして、30分程経った頃ジェイムズさんが私の名前を呼んだ。

 

 

「残念ね、どうやら一緒に面接を受ける事にはならなかったみたい。 

 でも大分緊張も解れたんじゃないかしら?? 頑張ってねみくちゃん。 ここで応援してるから!!」

 

「あっ……は、はい!! 頑張ります!! ゆきさん、本当にありがとうございました!!」

 

 私はゆきさんに深く頭を下げ、ジェイムズさんの元へと急ぐ。

 


 ゆきさんの言う通り、ここに来た当初に比べて私は随分と気が楽になっていた。

 

 よ、よし!! この調子で面接も頑張ってみよう!! 今日の私ならいつもよりはしっかりと話せると思う!!

 

 深呼吸を挟み、私は意気込んでジェムズさんの後について行った。




「皆様方、ご主人様はこの扉の奥にいらっしゃいます。 

 順に入り、用意されている椅子へとお座りください」

 

 長めの通路を終え部屋の前に辿り着いたジェイムズさんは静かに頭を下げてそう言うと、先頭に居た男の人は大きく頷いてその部屋の扉を開けた。

 

「失礼します!!」

 

 前に居た人達が次々に部屋に入り、私もそれに合わせて足を動かす。

  

「し、失礼します……」

 

 部屋の中は薄暗く、小さな照明スタンドが一つと私達が座る為に用意された椅子が横並びで5つ置いてあった。

 向かい合う様に設置された大きな机と背もたれの高い椅子はまるで悪い事をして校長室に呼ばれた時の様な独特な雰囲気を醸し出していた。

 


 そ、想像してた占い師の部屋って感じでなんか少しだけ怖いかも。


 他の人も緊張してるのか、どこかぎこちなく用意された椅子に腰を下ろしていき最後に余った椅子に私はゆっくりと座った。

 

 

 ……い、一体どんな人なんだろう。 ゆきさんを含めあの場所に居た大勢の人達を救った人物……名前的には男の人なのかな??

 だとしたら歳は幾つくらいなんだろう?? ジェイムズさんが旦那様って言うくらいだからやっぱり結構年配の方だったりするのかな??

 

 未だ姿を見せないその人に私は色々な想像をしてしまう。

 

 


 そんな時、私達が入ってきた扉が音を立てて勢いよく開いた。 

 

 

「あー、ごめんごめん。 本当は待っている筈だったんだけど、急にお腹が痛くなっちゃってね。 面接に呼んでおいて本人が居ないなんて君達には悪い事をしたね」

 

 男らしい低い声を響かせ、その人は私の横を通り過ぎて目の前の椅子へと腰掛ける。

 

「初めまして。 遠野司です、この度はお忙しい中面接に来て頂き誠にありがとうございます」

 

 椅子に座った男の人は、爽やかな笑顔を浮かべてそう言った。

 

 


 ………えっ?? こ、この人が司先生なの?? 

 

 私の自分の目と耳を疑った。

 

 整った顔立ちを隠す事なく、緑の黒髪を片方の耳にかけ大きな瞳で私達を交互に見つめるその人の姿は、容姿端麗という言葉が具現化したのかと錯覚してしまう。

 ジェイムズさんと同じ様に、まるで漫画やアニメの世界から飛び出してきたのかとさえ思えた。

 


 か、格好良い……それに想像してたよりずっと若い!! 20代後半?? いや、もっと若いかな??

 

 大人の男性の色気と共に少年の様な幼さを残すその見た目に、私は思わず見惚れてしまっていた。


「どうかしたかい??」

 

「……あっ!! いえ、すいません!! な、何でも無いです!!」

 

 その言葉に私は直ぐに目を逸らした。

 

 ど、どうしよう、変な奴だと思われたかな?? 

 ……それに何だか凄い緊張してきちゃった。 も、もう顔見て話せないかも。

 


 自分の想像を大きく超えたその人の姿に、さっきまでの自信は私の中から完全に消えて無くなってしまっていた。

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