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面接 2

 

「こんにちわ。 ねぇ、良かったら貴方達の話を聞かせてくれないかしら??」

 

「……話?? 別に何も話すことなんてないけど??」

 

 ゆみさんの言葉に反応した男の人は明らかに不機嫌そうな顔を私達に向ける。

 

「実はね、この子司先生と会った事なくてどんな人か知らないみたいなの。 だから先生の話を聞けたらなぁーって思ったんだけど……駄目だったかしら??」

 

「つ、司先生を知らない??」

 

 男の人は部屋全体に響く大きな声を上げ、周りの人達はその声に釣られる様に私達に、いや、私に視線を向けた。

 

「……今、司先生を知らないって言ってなかった??」

「先生を知らない子なんているの??」

「信じられない……」

 

 周囲から驚きの声が漏れる。

 

「あ、あの、ゆみさん……もう大丈夫です。 め、面接に来るのに私がちゃんと調べてなかったのが悪かったんです、だからっ」

 

「……君、本当に司先生を知らないの??」

 

 恥ずかしさで居た堪れなくなった私に、今度は別の男の人が話しかけてきた。

 

「す、すいません!! 私、本当に馬鹿で……そのっ!!」

 

 私は急いで頭を下げた。

 

 何やってるんだろう私ったら……頼まれたとは言え、面接に来たんだから多少なりとも下調べをするべきだったんだ。

こんなの怒られて当然っ。

 

 

「司先生はね、まさに神様の様な人だよ!!」

 

「……えっ??」

 

 思いもよらない言葉に私が顔を上げると、さっきまで不機嫌そうだった男の人はとても優しい笑顔を浮かべていた。

 

「僕はね、先生に助けてもらったんだ」

 

 そう言うと男の人は嬉しいそうに先生との出会いを語り出した。

 

 内容は違えど、ゆきさんと同じようにこの人も司先生に命を救われたと言う話だった。

 

「わ、私の場合はねっ!!」

「僕の時はっ!!」

「俺なんてっ!!」

 

 気付けば私の周りには大勢の人が集まり、皆一様にその先生の話を始める。

 

 

「ねっ?? みんな喜んで話してくれるでしょ??」

 

 私に耳打ちしてゆみさんが微笑む。

 

「す、凄いです……こんなに大勢の人と話は初めてで緊張しますけど、皆さんその司先生って方を本当に慕ってるんですね。 あ、ありがとうございます、ゆきさん!!」

 

「ふふっ、私は何もしてないわ。 この状況はみくちゃん自身が作り出したものよ??」

 

「い、いえっ!! ゆきさんのお陰ですよ。 わ、私一人じゃ誰かに話しかけるなんて出来なかったです!!」

 

「そうかしら?? 思い出してみなさい?? この部屋に入って私に最初に話しかけたのは誰だったのかを」

 

「えっ……で、でもそれはっ……」

 

「ふふっ、人付き合いの最初の一歩なんてそんなものよ。 好奇心は人を動かす原動力の一つよ……まぁこれも先生の受け売りだけどね」

 

 ウィンクを挟み可愛らしい笑顔でゆきさんは言った。

 

 た、確かにあの時はそんな事を考えるより前に言葉が口から出ていた。 普段の私ならゆきさんに話しかけるなんて絶対に不可能な筈なのに。 


「みくちゃんも直ぐにわかるわ。 先生が『本物』だって事がね」

 


 ゆみさんの言葉に私の胸は高鳴った。

 

 こんなにも大勢の人の心を掴むその人に、私は今すぐに会いたくなる。

 

 もしかしたら、本当に『本物』の占い師なのかも知れない……そしたら私のこの悩みだって!!

 



 面接にきた筈なのに、気が付けば私の心は既に違う方向を向いていた。

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