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1.皆揃って記憶喪失?


「こっちだ!あそこの角を曲がっていったぞ!追え!!」


後ろから私を捕らえようと騎士達が追いかけてくる。とにかく逃げるのに必死で走ったため自分がどこにいるのか分からなくなっていた。といってもこの広い王宮を散策するような暇はなかったのでどっちにしろ迷子になっていただろう。

断じて私の記憶力が悪いとかではない。たぶん。


それにしても先程階段で転びかけた時に片方の靴が脱げたせいでどうも走りにくい。やはり靴は両方揃ってないと駄目だな。私は残されたもう片方の靴を脱ぐと後ろの方へ投げつけた。ぐへっという間抜けな声が聞こえたため顔だけ振り向くと顔見知りな騎士の顔面に靴がクリーンヒットしていた。彼の隣を走っていた騎士がその姿を見て笑いをこらえているようだった。

おお、お綺麗な顔が怒りに歪んでしまっていますよ~。イケメンがもったいない。な~んて本人に言ったらまた睨まれるんだろうな。今も睨まれてるけど。あ、ヤバイ。どんどん距離が縮められていく。


「捕まえた…っ」

「ぃた……っ」


腕を捻りあげられた痛みで目に涙が浮かぶ。

逃がすまいと遠慮なく力を入れられているためものずこく痛い。ちなみに彼の顔はものすごく怖い。でもよく見ると嫌みなくらいに高いお鼻ときめ細かい頬には砂がついていた。いい気味だ。


「聖女と偽った罪は重いぞ」

「だから、私は聖女だっいったーーっ!」

「聖女はリーリア様だけだ」


まるで親の仇のように睨み付ける彼、ウィリアムは私の両腕を強く掴むと腕輪を取り付けた。


「牢につないでおけ」


ウィリアムの声に反応して彼の部下が私の背中を押した。走り疲れていたのと不意打ちだったこともありよろついた私はそのまま床にぺちゃりと尻餅をついてしまった。地味に痛い。


「早く立て」

「ねえ、ちょっと待とうよ。本当に私の事忘れたの?あかねだよ、あかね 雪村!皆一緒に旅した中じゃん!」


私はウィリアムをはじめとした騎士達を見つめた。ウィリアム程ではないが彼らとは挨拶をする仲ではあったのに、皆の視線はまるで知らない者を見るかのように冷たかった。中には憐れむかのように見てくる者もいたがやはり私の事は知らないみたいで助けてくれる様子はない。


「う、うそだぁ…」


これがドッキリでも何でもないことに驚きすぎて尻餅をついたままになっていた私をウィリアムが引き上げる。そのまま彼の部下に押し付けられて気がつけば牢屋の中に入れられていた。


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