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「うぅ… もういいよぉ… 本読みたくないよぉ…」
クウガたちは鬱屈とした表情で現場の本を読み漁っていた。とはいっても、陣内という人物が持っているのは向こうの伝説や伝承などが書かれた書簡がほとんどであった。かれこれ徹夜明けである。それほどまでに陣内が抱え込んでいた本の量は膨大であった。蔵屋敷はまぶしすぎる白色の部屋の光を遮るように手元の書類を瞼の上にのせていた。
「金はとても不思議ネ。無一文というステータスがあるだけで、やる気の低下につながってくるヨ。」
二人の様子を横目にしながら、様々な資料を横目に本を見比べる南はつぶやいた。その目はオーバーワークに慣れ切れてしまったようで、隈がありありと現れていた。
「…いや、昨日の昼に俺の財布スッカラカンにしたあんたにだけは言われたくないんすけど …って、おーい、先輩、おーい、しっかりしてくださーい」
南に悪態を付き、蔵屋敷には少しイラついたのか、寝かけている蔵屋敷を肩を叩いて起こした。
「ありがとネ。久々にこんな食べたヨ。」
「その代わりちゃんと働いてくださいよ?」
「問題ないネ。ばっちり証拠らしいものも見つかったヨ。」
南は、数ある本の中から1枚の封筒を取り出した。封はもう切られており、そこには宛先などはない。しかし、前衛的な絵柄の判子が押印されていた。
「南さん、それって」
「アァ、やーさんたちね。特定できたヨ。」
「ふむ、それならば課長に報告しないといけないね」
「そうっすね、ありがとうございます。南さん」
「ん? カチコミしないのカ?」
「「????????」」
「二度も言わせるナ、だから、喧嘩しに行かないのカ?」
「「え?」」
「最近、運動も戦闘もしていないから体鈍ってるネ。行かないなら俺だけでも行くヨ。昼飯代奢ってくれたからサービスネ。」
南は白衣のまま準備運動を開始し始めた。徹夜明けで判断がマヒしている二人は言っている意味が分からないようで硬直していた。
「好! 準備できたネ。それじゃあ行ってくるヨ。」
南は黄土色の魔方陣を展開し、颯爽と消えていった。大量の書物と二人はぽつんと取り残されていた。
「…先輩、見なかっ
「そうしよう」
…クウガたちは見なかったことにした。
↓
一方そのころ、南は渋谷のビルの前まで移動していた。このビルは1階に飲食店、中層に娯楽施設、上層にカジノが設立されている。
南は不相応な格好のまま、悪びれることもなくビルの中へと進んでいった。