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07 JK店長の泣き言。

意外に思われるかもしれないけど、コンビニの仕事という物はけっこう体力勝負な所があり、仕事中はかなり動き回ることになる。その為、当店のユニフォームも動きやすく且つ清潔感のある物となっている。

そんなユニフォームを着てきているのだから、森を歩くなんて大したことないだろうと思っていた。

決してなめていた訳ではない。ユニフォームを過信しすぎていただけなのだ。


いや、でも、言い訳をさせて貰うと、この森…もはや樹海が全て悪いと思うの!


道らしい道はもちろんのこと、獣道すらもない足元。

道どころか、樹の根のせいで平らな地面すらも少ない足元。

樹の幹や枝が覆い茂り、前も後ろも上もまともに見えない視界。

朝方のはずなのに太陽光なんて全く入ってこなくて、灯りは持ってきた懐中電灯だけ。

これじゃ、どんな装備でも苦労するに決まっている!


だから、決して私の装備が甘かったということはない。

そう言いたいけれど、一つだけミスを犯してしまっていたことに、今更気づいた。…かなり今更だけど。


ちらりと自分の左腰を見る。

そこには、動きやすさとは無縁の、大型のタブレット端末が紐で繋がって肩から下げられていた。

この端末は、コンビニ経営には欠かせない発注端末だ。この分厚いタブレット一つで、店の在庫の数の確認から商品の発注まで何でもこなせる。もしこれがなければ、発注業務だけでどれ程時間がかかることやら…想像もしたくない。

ただし、それはあくまでもコンビ二経営においての話であり、現在の森の探索には全く不要な物だ。正直ただの邪魔なお荷物だ。


なんでわざわざこんなお荷物を持ってきたのかって?

腰に下げている事に気づきもしていなかったからだよ!


私はいつも仕事中はこの端末を腰に下げている。

そしてどうやら、店でパニックになりかけた時にいつもと同じ姿になろうと思って、無意識に手にとっていたらしい。全然覚えはないのだけれども。

はぁ…何やっているんだろう、私…

小さなミスだけど、地味に悲しくなってくる。

肩を落としながらも、とにかく前に進む。



そしてそんな小さなミスよりも、もっと重大な問題がある。

森の探索をしよう!と店を出てきた訳だけれど、そもそも何処を目指し、何を探せばいいのか、よく分かっていないことだ。

とにかく店から真っ直ぐ進んでいるつもりだけど、目印もないから本当に真っ直ぐなのかも分からないし、どこまで歩いても周囲の景色に変化がない。いつまでも樹しかない。


出来れば何かしらの変化が欲しい。

道でもいいし、森の終わりでもいいし、町や村でもいい。

欲を言うなら、誰か人に会いたい。

更に欲を言うなら、母さんや龍二に会いたい。

何でもいいから、この樹だらけ謎だらけの状態から抜け出したかった。



異常気象の大雪に閉じ込められて、気がついたら店ごと謎の森に放り出されていて。

誰にも連絡は取れないし、人も車も家も何にもない。

いつも通りの店にいるはずなのに、周りはすっかり非日常。

そんな状態が怖くて、誰でもいいから会いたくて、何でもいいから打開策が欲しくて、いつものブラックな日常に戻りたかった。

そんな想いで、後先考えずに飛び出してきてしまった。


「このままこんな森で遭難して餓死したらどうしよう…」

そんな怖いことも容易に想像できてしまう。

前から、コンビニ店長として過労死するかもなんて想像はしちゃったりしていたけれど、まさかこんな意味不明な森の中で餓死するかもなんて想像をすることになるとは思ってもいなかったな。


思考がどんどんマイナス方向になって、自然と目に涙が浮かんできた。

それでも必死に歩みを進める。今ここで立ち止まってしまったら、精神的にも身体的にも、もう動けなくなりそうだった。



「あだっ」

半泣きで歩いていたせいで、樹の根につまづいてぺしゃりと倒れてしまった。

腰のタブレットが体にささってかなり痛い。ほんとに、なんでこんなもの持ってきちゃったんだろう…


しゅっ。

地面にすっ転んだのとほぼ同時に、勢いのある風が私の頭の上を通りすぎた。

「え?」

見上げると、横の樹の幹に何かが刺さっている。立ち上がって手を伸ばしてみる。


「これ……矢?」

「*******!」


矢に触れた時、後ろから声がした。

よかった!やっと人に逢えた!!


嬉しくなって振り返ると一人の女性がいた。顔は深く被った帽子で隠れていて、よく分からない。

身長は私よりも高いし、スタイルもけっこう良い。ぼんきゅっぼんってやつだ。…羨ましい。

そのぼんきゅっぼんを、やたらと面積の少ない、獣の皮みたいな物で包んでいる。面積が少なすぎて全然隠せていないけど。

手には年季の入った弓矢を持っている。もしかしなくても、幹に刺さった矢の持ち主はこの人かな?


「******!?…**********!!」

また何か言いながら、帽子を取ってこっちを睨んできた。

さっきから何を言ってるのか全然分からない。日本語ではなさそうだけど。

外国人かと思い、ぼんきゅっぼんさんの顔を見る。

綺麗な長いブロンドの髪に、緑の眼。そして、上に真っ直ぐ伸びた、人間にしては長すぎる耳。



森の中、理解できない言語、長い耳、コスプレみたいな服装、弓矢…ついでにぼんきゅっぼん。

どう考えても、外国人じゃなくて、ラノベとかに出てくるエルフにしか見えないんですけど…


誰でもいいから会いたいとは言ったけど、エルフに会うのは予想外すぎるよ?


更新が滞ってしまい申し訳ありません。更新ペースをあげていけるように頑張っていきます。

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