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おかしな世界のメアリー冒険記  作者: ハイドー
1/1

可笑しなバケツの兵隊さん

「おばあちゃん、今日も何かお話を聞かせて頂戴。」

「おやまあ、これはこれは可愛い私の孫娘じゃないか。よし、それじゃあ暖かい火の側でホットミルクでも飲みながら私の不思議な不思議な体験でも話そうかねえ。」

「何を言ってるの?おばあちゃんの話は大好きだけど、いつも絵本で読むような物語でしょ?」


すると、おばあちゃんは確か暖炉の火をボーっとか見つめ、目を閉じながらゆっくりと私に「今、メアリーは何歳だったかねえ。」と問いかけてきた。なので私はもうすぐ8歳だよ! っと答えた気がする。


その後、おばあちゃんは「そうかいそうかい、それじゃあ今度満月の夜一緒に隣町の教会の横にある森に入って見るかい。何たって面白い事が起こるかもしれないからねえ」

「どんな事が起こるの?」

おばあちゃんはその質問には何も答えずただただ暖炉を見つめて微笑んでいた。

私は気になってしょうがなかった。

けれども、何も答えず微笑むおばあちゃんを見て好奇心と共に悪戯かもっと思っていた。


だが、あの時話してくれた事は本当だった。今だから言える。おばあちゃんが話してくれていた物語やあの時の話は何の偽りの無いものであったと。


私は体験した出来事等をここに記そうと思う。

なぜなら、この体験はきっと私以外の子供達も体験する事かもしれないのだから……


それでは、どこから書き始めるとしようか。

そうだ!先ずはあの不思議な場所に入った経緯からにでもしようか。


=========================================


私が9歳になった時、おばあちゃんは教会横の森で倒れている所が見つかり後に死んでしまった。


お母様からもう少し大きくなって聞いた話しだが、どうやらおばあちゃんはあの森をよく散歩していて木の根っこにつまずき打ち所悪く死んでしまったらしかった。


それから、倒れていた横にはティーカップが置いてあったとのこと。だが、不思議なことにそのティーカップはおばあちゃんの物では無かったらしく、家族は不思議に思ったとのことだった。


まあ、どちらにせよ言える事はおばあちゃんっ子だった私はとても悲しみ数日間外にも出れない程であった。

だが、お母様はそんな私を1日でも早く外に出れるよう、よく訪れる教会に私を連れて出ようとしていた。

その時私は、何度か反抗したはずだが、お母様は必死に何度も私を隣町の教会に連れて行こうとしていた。

教会に行ってお祈りすれば心も治るのではっと思ったのだろう。


ともかく、私は嫌々ながらも結局連れ出された。

久しぶりの外でいい匂いのするパン屋や良くサービスしてくれる服屋さんのところなどなどおばあちゃんと行ったお店を通りぬけ、おばあちゃんがいた頃の思い出を思い出しながら歩き、気付いた時には教会近くまで来ていた。

そして、教会横の森を通った時ふと、おばあちゃんとの思い出の中で前、話してくれた事を思い出していた。


それで私はお母様に森に寄ってきても良いかと尋ね、お母様は心配そうに娘を見つめていたがちょっとでも立ち直れるならと「ちょっとだけよ」っと許しを得る事が出来た。


私は森に入り、しばらくすると前が見えなくなるほどの涙で溢れていた。

そして、しばらくして森を出る道が分からなくなっている事に気付いた。

恐らく泣いている時に獣道のような所に間違えて入ってしまったのだろう。


しばらく、道を彷徨っていたがさすがに9歳の足では行きだけでくたくたになっていて、帰りの道を探すなんて気力は到底出て来ず、お母様は今頃私を探しているのだろうか?という心配や悲しみから段々感情に押しつぶされるようになり体はそれを拒否するためか眠気がでてきて、遂には泣きながら寝てしまっていた。


そして、目を覚ます頃には辺りは真っ暗になっていて満月の光だけが僅かに木々の間から地面を照らしていた。

そして私は今ある状況を思い出しはじめている時だった。


遠くの方でランプの様な光がボオーっと見え私は後先考えず光の方へ走った。

まあ、眠っていたおかげで体力はある程度回復していたし、これで助かる!っと言う希望もありで不思議と走る事が出来た。


けれども、幾ら走っても走っても追いつかず辺りは霧に包まれていくばかりで距離は一定にたもたれている様だった

そしてもうダメかと半ば諦めかけていた時、光が近づき出し、霧が晴れ出し、最後の力をふり絞り光の方へ走った。

するといつしか森を抜け、不思議な光る門が少し遠くの所に来ていた。


又、おかしな事に遠目からでも分かる様なバケツを被った滑稽な兵士のような人が2人門の前で話しているようだった。


私は、ちょっとした安心感からかその人達に話しかけ道を聞こうと近づいた。

だが、近づけば近づく程その姿は滑稽であった。

なんせ、1人はピンク色のバケツを鼻が被さりそうになるくらい深々と下げていて、方やは小さなバケツにガタイの良い体がアンバランスであったからである。


私は、安心とバケツ兵士の可笑しさでちょっと笑みをこぼしていたことだろう。


とにもかくにもバケツ兵士の近くまで行くと、ピンクバケツ兵士が気付いたらしく

「よう、嬢ちゃん。こんな夜中に森の方から来てどうしたんだい? 」

「私、道に迷ってしまっているの。だから兵隊さん達に聞きたくって」


すると、アンバランスなバケツ兵士が

「そもそも嬢ちゃん。服がボロボロじゃないか。本当に迷っているだけなのか? 本当は奴隷かなんかじゃねえのか?」


確かに服は走っている時だろうか。びりびりに裂けていて寝ていた時地面に寝転がっていたので土まみれでもあった。


「違うわよ! 私は只の町娘よ。

これは道に迷った時にこうなっただけよ」

「本当かあ。でもまあそんなに言うんならいい。で、道に迷ってるとか言ってたが具体的には何処に行きたいんだ?」


「えーと。私の横にある教会の森からきたの。名前は分からないけど……」

するとピンクバケツ兵士が「教会だと?なんだそれは。おい、知ってるかブラザー?」

「いや、知らねえなあ。なあ、あんた。森の方から来たって言ってたがあの森の奥は建物なんか一つもねえ甘ったるいお菓子の山だぜ。


「何よそれ。それじゃあここは何処なの?」

するとバケツ兵士達は口を揃えてこう言ったのだった。


「ここは何処っててめえ、決まってるじゃねえか。ここはニックナック王国だよ! 」



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