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少年とバケモノの世界  作者: 文鳥
第一章:目覚め
8/11

家出

「閣下、今回の戦況はこちらの兵士200人は全滅。しかし、相手側は市民500人とドラゴラム家の後継と思われる男と従者何人かを殺したとの報告が入りました。残念ながら現頭首は重傷を負わせる止まりでしたが、相手にとって大きな痛手となったでしょう。」

「馬鹿者!!!!何故奴の娘と奴を殺さぬ!!!!いくらでも次の子供が出来て結局一緒ではないか!!!!」

「流石にリーダ格といえど荷が重すぎたようで…」

「もう良い!下がれ!!!!いまいましきドラゴラムめ…武の座をいつまでも保って折れると思うなよ!」


ここは、サーペンタラムの館。

ドラゴラム街と同じような作りになっているが、外見はお世辞にも綺麗とはいえない。

すぐそこの曲がり角から悪の魔法使いでも出てきそうな雰囲気だ。


「父上。どうかなされたのですか?」

「よくぞ来たな。わしの無能な部下どもがまた失敗しおったのじゃ!!!!」

「流石にあの数では少なすぎます。そうですね、全手を破壊し尽くすにはリーダー格三十は必要かと。」

「ハハハ!!!!そんなにリーダー格がおったら苦労せんわい!!!!」

「そうですね、ではごちらの策はいかがでしょう?」

「ほう、なるほどのぉ?」


ところ変わってドラゴラム街とある一室。


「父さん…なんで…」


彼の父親は、このペンダントを大事にしていた。

彼の言葉がサウラの脳裏に浮かんでは消える


「サウラが大きくなって立派に成長したらこの修行場の鍵をあげよう。その時は一人前の証だ!」

「サウラ、いつか俺に孫の顔を見せてくれよ?…ちゃんはどうだ?」

「サウラ、学校には気をつけていくんだぞ」

「サウラ、遠く離れても俺はお前を愛し続けるからな」


その言葉一つ一つが少年の心を締め付ける。

思い出せば思い出すほど、少年の頬に涙がつたう。


サウラは、ペンダントをぐっと握りしめて椅子から立ち上がる。


「俺は、男になって帰ってくるよ、父さん」




「サウラ様…あれ?トイレにでも行かれたのか?おや、窓が開けっ放しじゃないか…ここは五階、サウラ様の休息部屋のうちの一つに鳥が入って来ては大変だ」


従者は、静かに窓を閉めた。




「また、ここに戻るのは一年後だ。いきなり領主が消えて当分パニックになるだろうが、俺はサーペンタラムと直接戦える力が必要だ、龍の炎を消さないためにも頑張ってくれ」


塀を飛び越え、山の中へ。


「なかなか急だな。この体になれるにはちょうどいい」


木の上を飛んでいるかのように、飛んで行く。

たまに足を滑らせるが、地面につくことはない。


「さて、ここからは難関だな」


目の前に広がったのは高さ五十メートルはあろうかという切り立った濡れた崖。


「よっ…と」


サウラは、岩を正確に捉えまるでヤモリが家の壁を登るかのごとく、スルスルと登って行く。


「危ねぇ!?」


掴んだ岩が、砕け落ちる。


「石もしっかり見ないとな」


難なく難関を乗り越えると、そこは頂上で頂上には、自然な中にポツンと人工的な凹みが空いた岩がある。


「ようやく、挑むんだな。龍の煉獄に」


ペンダントを凹みに嵌め込むと、岩が持ち上がり暗く湿った入口が現れる。

中は、入り口ほど汚くはなく、人工的な通路が続き、水の試練の扉と書かれた石の扉が現れる。


「なんだこれ、開かないぞ…これならどうだっ!!!!」


その重たい扉を蹴り開けると、一斉に水が流れ出して来る。

その水かさはどんどんと増していき、やがて廊下全てを覆った。

無視して激流に耐えながら前に進み部屋の中に入ると、そこは先の見えない大きな迷路のような部屋。


これが試練ってわけか…おそらくこれは出口を探すものだろう。


彼は、泳ぎ始める。すると、脇腹に矢が突き刺さり、口から空気が漏れる。

サウラは、矢を引き抜くことはせず、そのまま泳ぎ続けると、前から血の匂いに誘われて人喰い魚が現れる。

その体長は五メートルほどにもなる巨大な魚で、極めて獰猛。


魚は、一目散に口を開け、襲いかかってくる。サウラは、間一髪それを避けるが、人喰い魚の尾びれで、壁に叩きつけられる。

しかし、サウラは怯むことなく水の流れを切り裂く一撃を見舞う。

だが、威力が水中で半減し、思ったようなダメージを与えられない。


巨大魚は器用に体を曲げ、その大きな牙のついた口を開けたまま、突進してくる。

サウラは、その瞬間脇腹の痛みで、ある作戦を思いつく。

巨大魚をギリギリまで引きつけ、目玉に鋭い突きを見舞う。

巨大魚のスピード、水の抵抗を最も受けない作戦をサウラは思いついたのだ。

巨大魚が悶えくるしんでいる間に、迷路を進んで行く。


大分戦闘で空気を消耗してしまった…苦しい。

ここを曲がったところがゴールだったらいいのに。


その願いは果たされた、しかしそれは大きな絶望だった。








全員死んだと思いましたか?残念、全員は死んでいない。

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