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少年とバケモノの世界  作者: 文鳥
第一章:目覚め
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帰郷

今、とある少年が帰郷の用意を始めていた。

この世界での学校は基本的に寮制、一人一部屋用意される。

帰ることができるのは一年に一度。年度末のみだ。

しかし、休みの時間は長く、その期間は四ヶ月に渡る。

その間、彼らは各々力を蓄え、課題をこなし、ひとまわり大きくなって帰ってくる。


「いやぁー、楽しみだなーようやく帰れる…」

「マァ!アタシはダーリンと長く会えないから嫌よ!!!!」

「はは、家も遠くはないんだし、遊びにおいでよ、君なら多分両親も歓迎するだろうさ」


と、皮肉たっぷりに彼は行ったつもりだったが


「ンマァ!毎日会いにいくわね!」


こいつはかなりの能天気なようだ…


「私も…たまに行くね…」

「「ウワァ!?」」


エナが唐突に喋り出したので、いたことに気がつかなかった二人は椅子から転げ落ちる。


「ごめんね…」

「いいよ、いつもの事さ」

「なんかもっと…存在感は出ないのかしらっ!!」


冗談を交わしながらも、なぜか当然の様に彼の部屋にいる二人を尻目に、彼は荷造りを進めて行く。


「そういえば、エナの家はどこなんだ?聞いた事なかったな」

「私の家…あなたの家の後ろ…」

「家まで存在感が薄いのか…」

「ごめんね…」

「じゃあ、帰りの飛龍便は三人一緒だね」


飛龍便とは、この世界の最もメジャーな通行手段。

飛龍便の運転手、職種で言うと魔獣使いはこの世で一番目にする職業といっても過言ではない。

運搬、建築、なんでもござれだ。

基本的に異人が勤めることが多い。給料の割には死亡率が高い。しかし、簡単になれるという事でなるものが後を絶たないため、この様な状況になっている。

飛龍便は、安い、早いがモットーだ。


「そうね!お土産でも買って帰ろうかしら!!」

「いいね、でも停留所までの道に買える場所がないぞ?」


すると、彼女が認識阻害の上からでもわかるぐらいニヤッとして


「先生の…かつらでも持って帰る…?」

「傑作だね!でも、この学校にかつらの先生はいないよ」

「残念…」


そんな事を言っている間に、用意ができたようだ。


「さぁ、行くか!」


まだ新らしい扉を開いて、あまり多くない荷物を運び出す。


「じゃあ、飛龍便で!」

「またね…」

「お先に行っておくわね!!!!ンバッ!!!!」


いつもの汚い投げキスをして、彼は物凄い速さで走って行った。


「さて、行くかな…」


いつの間にか消えているエナを放っておいて、レンガの廊下を抜け、寮の外に出る。

ここから、学園外に出れば、すぐに飛龍便だ。

少し土埃が舞っている。

そして、いつもはしまっている鉄の門からやたらに高い壁の間を抜け、外に出る。


「久しぶりの外だ…いい空気だな」


そんな、受刑者の様な事を呟きながら、彼は停留所にもう既に止まっている飛龍便の操者に学高の校章が金の刺繍で縫い付けられた財布から五ブロンズ支払う。


「まいど」


ブロンズとは、この世でもっとも安い硬貨だ。百ブロンズで、一シルバー。

ゴールド、プラチナ、ミスリル、オリハルコンと全て同じ感覚で続く。

一般層の月給が20シルバーほどで、プラチナ以上はあるかどうかも一般市民からすると怪しい。

絶対にこうなるに決まっているという時に、一プラチナかけるね、というジョークがある程だ。


「おや、エナはまだか」

「あの子まだ来てないみたいね!この間に私とあなたの愛の逃避行が…」

「いるけど」

「「ウワァ!?」」


飛龍便の席はしっかりと固定されているので、倒れることはなかったが、大きく揺れる。


「お客さん、静かにのってくだせぇ」

「すいません…」

「では、リンクス、ドラゴラム伯爵停留所へ向かいまーす」

「あなた武闘の名門の生まれなのに、人間なんて残念ネ!でも、そんなあなたも好きよ!!!!」

「あはは…」

「そういうの、よくない」


珍しく、エナが怒った顔をする。


「ヒェッ!冗談よ冗談!!!!」

「そう…」


いつものよくわからない顔に戻ると、窓の外に顔を出す。


「町がジオラマの様ね…」


もう既に砂つぶほどになった学校を見下ろす。


「本当だ。って事はもうそろそろ来るね」

「お客様、到着の衝撃に備えてくだーさい、危険ですので、人間の方は立ち上がらないでーくだーさい」


そう操者が言い終わった瞬間、ドラゴンがくるりと、縦に回りすごい速さで、直角に降りて行く。みんなは荷物が飛ばされないよう、しっかりと荷物を掴む。


「「「ウワァァァァァアアアア!!!!」」」


これは、人間にも、異人にも平等な怖さだ。


「やっぱりこればっかりはなれないわね…」

「本当…それ…」

「吐きそうだ…」

「早くお降りくだーさい着きましたよー」


よたよたと、倒れそうになりながら降りる。


「おかえり!!!!サウラ!お友達も無事出来たみたいね!!!!よかった!!!!」


迎えに来ていた母が、満面の笑みでお迎えに来ていた。


「あら、あなたは裏のお家の子ね、小さい頃からサウラを見てたわよね、お友達になりたかったのかしら?そ、れ、と、も?」


彼女は、認識阻害でとてつもなくよくわからなくなった顔をして、走って行ってしまった。


「可愛いわねぇ…あんな子が将来…あ、荷物置き忘れてるじゃない…サウラ、持って行ってあげて」

「わかったよ」

「あら、お母さんに対しては優しい子なのね!」

「あなたは隣町の子ね、噂は聞いてるわあなたも壁に負けず頑張って!」

「ありがとうございますお母さま!」


彼はよくわからないなぁ、という顔をしながらもほのかにエナの香りのする荷物を持ってエナの家へ向かう。


「あら、あの子ったら自分の荷物忘れてるじゃない…」

「そんなところが可愛いんですよ…」

「そうね」


しばらく話して、昼食どきになる。


「朝ごはん食べてないので、お腹が空いて…サウラ君によろしく行っておいてくださいな」

「わかった、サウラから楽しい話を聞けるよう楽しみにしておくわ」

「きっと、楽しいお話が聞けると思いますわ!では、御機嫌よう!!!!」


彼は、物凄い速さで走って行く。


「嵐のような子ね…さて、と帰ろうかしら」


停留所からすぐの豪邸に…むしろ、豪邸の門のすぐ前に停留所があるのだが

そんな事はさておき、学園の門にも負けない謎の金属で出来た扉が、内側から、たくさんの従者によって開けられる。


「おかえりなさいませ!!!!お嬢様!!!!」


数十の従者が、軍隊のようにぴったり揃い一斉に挨拶をする。

これだけでも、庭用の従者だけと言うから驚きだ。


「お嬢様はもうやめてって行ったのに…」


奥から、髭を蓄えた黒いスーツの品のいい老人が出て来る。


「ほっほっほ、親になってもまだまだ彼らからすればお嬢様なのですよ。ぼっちゃまはまだですかな?」

「えぇ、裏の子に忘れ物を送り届けに行くみたい」

「おや、それは感心ですな。優しい子に育って…爺は…爺は感激しておりますぞぉぉぉ!!!!」


ここは、ドラゴラム邸。武術の名門かつ、貴族のドラゴラム一族が住まう屋敷。

戦場で建てた武功は星の数。

総資産は20ミスリルというミスリル級の富豪でもある。




















ちょっと試してみたいことを試してみました。

少々、読みにくいかもしれません。

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