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少年とバケモノの世界  作者: 文鳥
第一章:目覚め
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学校

今日は、調子がいいので二話投稿。

「本当に無能力なの?」

「あぁ、魔力が一切感じられないって。魔法使いの道も切望的だな。少しでもあれば成長する可能性はあるのに…」

「勉学に励ますしか無いのかしら、ファイターは人間には務まらない。」

「まぁ、人間の個性って言ったらそれぐらいだよなぁ…」


二人が悩んでいると、デイノが


「そうじゃ、敢えて共学に入れてみてはどうだろう?何か兆しが見えるかもしれぬ。」

「なぜですか!それは危険です!!」

「この世の中には、魔力を持たぬモンスターもおる。実際に観測された事例はない。まぁ、当然じゃがそれが憑依した人間は見たことも記録にも残ってないのじゃが…」


そんな大人達とは逆に、赤ん坊は無邪気に笑う。


「サウラ…異人に産んであげられなくてごめんね…きっと立派な大人にしてあげるから」


それから、数年が経った。

ここはとある共学校。


「この様に異人は死んだモンスターが憑依したものと考えられ…」

そして、スヤスヤと眠っているのはあの赤ん坊である。

「サウラ!!また寝て!!!!良家の出身とはいえただの人間!!おだてることはできませんよ、廊下で立て!!!!今すぐに!」


クラスメイト達は嘲笑の混じった笑いで笑う。


「人間で何が悪いって言うんだ…」

「ブツブツ言わない!!人間は弱い生物なのですからちょっとでも足腰を鍛えなさい!!」


また、あの笑いが繰り返される。

サウラは、廊下に出ると見せかけて、走って学校から逃走を試みる、が。


「人間の分際で逃げられるとでも?あなたの今日の課題は二倍です!!」

「チェッ…」


すると、教師はサウラの頬を殴打する。


「人間の癖に調子に乗るんじゃない!!!!貴方がドラゴラム一族の末裔じゃなければとっくに私は貴方を殺しているでしょう!!!!」


ドラゴラムとは、戦闘において最も優れ、その強さ龍の如しと唄われる名門である。

そして、サウラは吹っ飛び、木に背中を打ち付け、気絶する。


そして、暗転した世界で何かが語りかけてきた。


「貴様は弱い…今は弱き存在だ…だが、本当は最も高貴にして気高き存在…我らの王となるもの…」

「誰?僕はただの人間さ、そんな資格はないよ」

「今にわかる、そうだな…後一月ほどかな…まだ、お前は生まれてすらいない」

「僕はもうしっかり生まれてるよ、頓珍漢なやつだな。」

「フハハ…我に向かって頓珍漢と…面白い…将来が楽しみだ…」


そこで、気がつくと、心配そうに覗き込んでいる顔が見える。


「あの先生は異人至上主義なんだから逆らっちゃダメって言ったでしょ!」


彼女は、ここで保健の先生をしている。彼女もまた人間だが、優れた魔力操作で、異人からも一目置かれる存在だ。


「ごめんなさい…でも、あの先生の授業つまらないんだもん」

「はは!それは言えてるかも!つまらなさそう!あ、これ内緒ね」


彼女は、校内で唯一僕に優しくしてくれる存在だ。同じ人間ってこともあるけど、なんて言うか親近感がある。


「アナタダイジョウブブブブブ!!!!」


いや、もう一人いたな。


「大丈夫だよ」

「それなら良かった!!!!私の愛しいダーリン!!!!」


こいつは、マカベナ。男だけど、女みたいな奴だ。こいつは異人のしかも、オール型にも関わらず俺になぜか優しくしてくれる。

こいつのモンスターは、アースオーク。危険度は中級だが、高級にも手が届きそうな、若手ハンターにとっては今注目株のモンスターだ。って、こいつが言ってた。

まぁ、その言葉の通り、クラスでは先生すらも敵わないような怪力を持ってるし、身体能力も変態級。容姿もピカイチにいいけど、喋ると色々残念な奴だ。

だけど、ファンも多数いるみたいで、俺はもっぱら嫌がらせの標的にされるし、抱きしめられて骨折れかけるし、正直こいつが嫌いだ。


「よかった…です…」


あ、こいつも忘れてた。こいつは、クラスで一番の根暗ちゃん、エナ。

影が薄く、記憶力のいい俺でも、忘れてしまう。

まぁ、オール型でモンスターがハイドって言う人型の巨大なモンスターなんだけど、常時認識阻害弱と、存在希薄中が付いてるので中級ハンターには見えないと言う謎のモンスター。

その特性を継いでいるので忘れられても、仕方がないと彼女も思っているらしい。


モンスターの危険度はなんと、上級。気づかない内に背後から切り刻まれるらしい。爪は見当たらないのに。それがハンター三代不思議と呼ばれている。単純なパワーならアースオークが勝つだろうが、この世界では、あいつは餌にされてる。


そんな関係なので、マカベナは少し、エナが苦手みたいだ。

なんか、異人同士では相性があってねぇあの子は本能的な恐怖を感じるって言ってた。


これが、学校でのいつものメンバーだ。

僕が脱走しようとして、気絶して、心配されるこのワンセットだ。

今日は変な夢みたいなの見たけど。


「ノート、とっといてあげたから…どうせとってないんでしょ」

「いつも悪いね」


と、笑いかけるともともとよくわからないのに。もっとよくわからない表情をする。認識阻害のせいだろう。

いつもそうだ。


「アナタ給食マダでしょう!!これ食べて!オベント!!」


と、いつもの様に手の込んだ弁当をくれる。材料は、モンスターを狩って作っているので、新鮮さが、美味しさの秘訣なのよ!と言っていた。実際にすごい美味しいし、健康バランスも考えられている。

寮生活で、寮のご飯とかあるのだが、毎日、こいつが作ってくれるご飯しか食べてない気がする。

そんな事もあって、ファンからは目の敵にされている。

こいつの弁当だけは大好きなので、嫌がらせは華麗にスルーする事にしている。


「そろそろ五時間目が始まるわね!じゃあねダーリン、ンバッ!!!!」


と、汚い投げキッスをして保健室から出ていく。

そして、いつの間にかエナもいなくなっている。


「貴方は羨ましいわね、人間なのに、異人のお友達がいて」

「先生にはいないんですか?」

「今はいるけどね、昔才能がなかった時は誰も仲良くしてくれなかった…」

「そうなんですか…それってもしかして遠回しにバカにしてますか?」

「バレちゃった?」


と、保健室の先生がふわっと笑う。

僕はこの笑顔が好きだ。お母さんの笑い方に似ているから。もう親離れしてから一年になるのか…早い様でいて、長いなぁ。

明日は、家に帰れる日だ。


この日だけを楽しみに一年頑張ってきたのだ。まぁ、毎日脱走しようとはしていたし、今日は惜しいところまで行ったけどね。


「明日は帰宅日ね!一年に一回しかないって言うのもかわいそうよねぇ…私は、親だけが拠り所だったから」

「そうなんですか、でも離れているからこそわかる親の大事さってありますよ」

「大人びてるね」

「ありがとう」


こんな、たわいもない話をしながらも、心は久しぶりに会えるワクワクでいっぱいだ。








いきなり何年か飛びましたが、空白の何年かは閑話や、外伝でやるつもりです。

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