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八重桜

失うことが、恐ろしい。


離れていかれることが、恐ろしい。


一人になることが、恐ろしい。


だから私は己が腕に、抱く。


冷たく成り行く夫の躯を。


もう帰ることのない弟の忘れ形見を。


二度と笑うことのなくなった父を。


ある日突然狂い死んだ母の骸を。


窓の外では、今日も桜が咲き乱れる。


散り行くその花弁は、何を思うて散り行くのか。


あいや悲しき世の中よ、なんと救いなき世の中よ。


どれ程嘆こうと、どれ程憂いても。


散り行く花弁が戻ることはない。


散って行った大切なものが、戻ることはない。


人の命のなんと儚きことか。


私は、散り行く八重の桜を見て独り、呟いた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 考えてしまう内容でした。 ありがとうございます、
2015/10/18 17:48 退会済み
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