冷たい氷の王子(アルト視点)
更新遅くてごめんなさい!
アルト視点です。
大嫌いだった、俺の瞳。血に染まったような紅。
この瞳のせいで俺は、周りから忌み嫌われていた。
……けど、6歳のあの日、黒髪の少女に出会ってから俺はこの瞳を好きになった…
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その日は、宝石のような真っ白な雪が降り積もっていた。
俺は母さんに連れられて、フレイシア家にきていた。
なんでも、俺と同い年の女の子がいて、他に同年代の子がいないから、
俺と遊んで欲しいそうだった。
母さんはすぐに了承した。俺に早く友達を作って欲しいそうだ。
期待はしてなさそうだったが………。
……俺は親しい友人はいない。 俺は、天才とやらで他の子と明らかに実力差が出てくるからだ。
…妬み 嫉妬 憎しみ 恐怖……みんなそんな感情を俺に向けてくる。
そんな奴らと仲良くなれるわけがない。
そして…この紅い瞳は面倒事を引きつけてくる。…闇市商人に連れ去られたこともあった。
石を投げつけられたこともあった…。
周りからこの紅い異端の瞳はけむたがれていて、苦しかった……
こんなみんなとは違う紅い瞳を好きで持って生まれたわけじゃないのに……。
「アルト。ほら、この子がティアラちゃんよ。仲良くしてあげてね。」
母さんが紹介したのは、綺麗な黒の髪と深海のような青い瞳をした少女だった。
少女がこっちを見て引きつった笑みでにっこり微笑んだ。
「よろしくね。あたし、ティアラ・フレイシア。ティアラって読んで?。」
ティアラ…か……。
きっとこいつも母さんに言われてやってるんだろうなぁ。
だったら、俺みたいな奴と関わりたいなんて思わないはずだ。
「アルト!」
母さんが急かすように俺をみる。ふぅ、…俺はもう一度ティアラ・フレイシアをみつめた。
「俺は、アルト・ヴィブロス。」
(早くこの無駄な時間を終わらせよう。)
…そう思ってたのに
「ねぇねぇ、アルト君の好きな食べ物は何?あっ、あたしはルフールだよ?。」
「聞いてて、アルト君。布団が吹っ飛んだ!」
「あのね、あのね。」
ティアラ・フレイシアがマシンガンのごとく俺に喋りかけてくる。
最初の内は良かった。ただ、少しだけ、喋りかけてくる程度だったから。
けど…今、ティアラ・フレイシアの口は閉じるこの無く喋り続け、俺の周りを飛び跳ねている。
ティアラ・フレイシアがいきなり喋るのを辞めた。
もう、質問攻めを逃れられると思った瞬間。
ティアラ・フレイシアの手がいきなり伸びてきた。
その時、走馬灯のようにあの時の光景が思い浮かんだ。
『お前がいるから!俺は!!』
『何でお前なんかが!!』
『ばっ、化け物!!』
こ わ い
『っ触るなっ!。」
あの手があの時伸ばされた手のようで、ただ、ただ、怖かった。
「えっ……。」
ティアラ・フレイシアが、悲しそうに目に涙を溜めていた。
でも、罪悪感はわかない。きっとこいつも同じ、母さんに言われたからなのに…
本当の俺を見てくれない…
「お前は、俺の母さんに頼まれたからこんなことをやっているんだろう?。」
「ちっ…、違っ。」
みんな、みんな
「お前も、怖いんだろう?この俺が。血の色をしたこの瞳が!!。」
同じ、お前も、あいつも、みんな、俺の力を見て恐怖する。
この瞳を見て、力を使った時の俺を見て、化け物だと……。
「俺は独りだ。」
俺はいつも独りぼっち。心許せる相手なんかいない。
いつ、裏切られるのか分からないのだから。
「俺は異端だ。」
俺はみんなとは違う。そうだ。 ‥っこの目が、こんな目が…!
「あぁ、こんな目いらないんだ。」
いらないんだ。必要ないんだ。
「俺は俺が必要ない!」
欲しいわけじゃなかった。力なんて……いらなかったのに…。
どうして、俺に俺だけに…。
心が、締め付けられるように痛い。
「大丈夫。」
ティアラ・フレイシアが俺に喋りかけてきた。
何が大丈夫何だ?何も分からないくせに…
「貴方は一人なんかじゃない。」
嘘だ。
「異端なんかじゃない。」
嘘だ。
「目の前にあたしがいるでしょ?貴方を怖がってないでしょ?」
嘘だ。嘘だ。
「その瞳は……綺麗な情熱の紅、血の色じゃないよ?」
「う…そだ…っ」
本当なわけがない。そんなわけ…ないじゃないか…。
「嘘じゃない。」
「本当に?」
俺が……俺が………。
「本当だよ。貴方は怖くない。」
その瞬間、胸のとっかえが少し取れた気がした。
……そっか、俺は寂しかったんだ。心許せる相手がいなくて…。
冷たい何かが、俺の感情を押し出すように流れた。
「…ありがとう。」
俺のつぶやきは、君に聞こえてなかったけど。
この思いが、俺の中の小さな淡い思いに気づかなくとも。
これだけは言える。 『ありがとう』
この思いだけは君に届きますように--------
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その日から、俺とティアラはよく遊ぶようになった。
母さんは飛ぶように喜んでいた。
まぁ、いいけど…。
その頃ぐらいからつきまとう女子が増えた。
ティアラが、特別な魔法で、瞳の色を一時的に碧に変えてくれたからだろう。
でも、俺はティアラ一人でいいのに。
ティアラは表情がコロコロ変わって面白い。
一緒にいたかったのに、リュデール学院では近づいちゃダメだと言われている。
…ショックだ…。
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今日はビアンカと魔道館に来ている。
騒ぐ、女子が少しうるさい…。ティアいないかなぁ?
…!?ティア!!行列の一番後ろにいるけどわかるんだ!!
俺にはティアセンサーがあるから。
早く、ティアに会いたい!俺は女子をかき分けて、ティアの元へ歩み寄る。
ティアは、目を見開いて驚いた。
「ティア、会いたかったよ。」