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冷たい氷の王子

あー、とうとう来ちゃったよ。魔道館。

アルには今、会いたくないんだよね〜


*********************************


アルト・ヴィブロス 彼に会ったのはあたしが6歳の頃

初め会った時は、アルは氷のように冷たくて、怖かった。

あたしが恐る恐る笑いかけても、笑わない。無表情のままだった。

本当に6歳?っていうくらい。話しかけてもアルは笑わない。

銀色の髪と紅の瞳がいっそうアルの冷たさを引きだたせているようだった。

それが……昔のあたしに少し似てて、苦しかった。 だから、助けようと思った。

初めて出会ったけど、見捨てれない何かが有った。

今、思うとあたしと共通していた瞳を見て助けたいという気持ちに繋がったんだろう。


「どうしたの?笑おうよ。笑うときっといい事があるよ?幸せになるよ?」


アルは無表情のまま。それが嫌で、近づいてアルに触れた。

その途端、


「っ 触るなっ!。」

「えっ……。」


否定された事が哀しくて涙がこぼれ落ちそうだった。

アルはあたしを見つめている。


「お前は、俺の母さん達に頼まれたからこんなことをやっているんだろう?」

「ちっ…、違っ。」


続きの言葉が出てこなかった。アルの瞳がとても冷たい凍てつくような瞳だったからだ。


「お前も、怖いんだろう?この俺が。血の色をしたこの瞳が!俺は独りだ。

俺は異端だ。あぁ、こんな目いらないんだ。俺は俺が必要ない!」


そう言った瞬間、アルの顔が苦しそうに歪んだ。

あぁ、そうか、寂しいんだ。かれは…

自分で自分を必要ないと言ってしまう程に。

彼を孤独から救いたい。

あたしと似ている彼に。


「大丈夫。貴方は独りなんかじゃない。異端なんかじゃない。目の前にあたしがいるでしょ?

貴方を怖がってないでしょ?それに、その瞳は……綺麗な情熱の紅、血の色じゃないよ。」

「う…そだ…っ。」

「嘘じゃない。」

「本当に?」

「本当だよ。貴方は怖くない。」


アルは苦しげに涙をこぼして泣いていた。

セリアールには地球の日本のように心の病院がない。だから、アルのような人が出てくるのだろう。

セリアールには魔法があるが、技術がない。魔法がすべてを補っている。回復魔法は体の傷を癒す事は出来るが、

心の傷を癒す事は出来ない。


「…………。」


アルは小さく小さく何かをつぶやいたけど、残念な事にあたしの耳には届かなかった。


###


その日から、あたしとアルはよく遊ぶようになった。アルはかっこいいから女の子にすぐモテる。

ハーレムフラグが立ちそうな時は、フラグを折ってやりました。

別にアルに友情以上の感情を持っているわけじゃない。アルはあたしに懐いている。

突き放すと捨てられた犬のようになっちゃうんだ。だから、突き放す事は出来ない。

でも、あたし以外には氷のブリザードで無表情。

そこで、アルが好きで好きでたまらないハーレム部員ができたら、どうなると思う?

否、あたしは嫉妬のオンパレードだ。ここ、リューデル学院では用がない時は、近づいちゃダメと言っています。

アルには悪いけど、平穏な学院生活を壊されちゃたまんないからね。だから、平穏とは、正反対の『王子』

という単語は悪い方に敏感です。 でも……セリルはミーハーだからね。

しかも、王子という単語を聞けば飛びつく女の子だ。でも、一人で行く勇気が無い。

だから、一番仲のいい人、親友のあたしを連れて行くのは、必然だろうか。

あぁ、石が乗ったように心が重い。


***********************************************************


''ガチャ,,

いやぁ、開いちゃったよ ドア。最悪だよー。もう〜

でも、いかないって言ったら、セリル悲しむだろうなぁ。はぁっ、覚悟を決めなきゃ。

あたしは周りを見渡すと魔道館は女子で埋め尽くされていた。


「きゃあーー 。花の王子、ビアンカ様よー!」

「いつにもまして、お美しいぃ!」

「氷の王子、アルト様ぁーーー!」

「その氷 とかしてさしあげたいぃぃ!」


なんだろう。黄色い歓声ってこういうことを指すんだろうね。

みんなの視線の先を見て見ると、金色の髪碧の瞳、まるでおとぎ話の本から出てきたような人と、

氷のブリザード健在で無表情の氷のような人、アルがいた。

ビアンカって人 本当の王子様みたい。……あれ? ビアンカ王子が微笑むと、花がまるで咲き誇ったような

背景が見えるんだけど……。見間違いかな?あたしは一応目をこすってみたけど、見間違いでは無かった。

…………うん。深く追求しないでおこう…。アルは…。冷たっ。女子に見向きもしないよ。この人。

可愛いじゃん みんな。アルは、世の男子を敵にまわしたいのかな?…………?

あれ?アル、なんかこっちチロチロ見てるんだけど、まさか、見つかったわけじゃないよね?

だってあたし……一番後ろにいるんだよ?アルの顔見るので精一杯なんだよ?

………あれれ?アル、近づいてきてない?


「ティアちん、氷の王子がこっちに来てる!!。」

「えっ……………。」


とうとうアルはあたし達の目の前にやって来てしまっていた。

アルは先程までブリザードの嵐だったのに、今では、すっかり消え失せている。


「ティア、会いたかったよ。」


こいつ、いきなり爆弾けしかけてきやがりました。




台詞が少ないね。次回、まともにアルが出てきますように!


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