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第107話:林間学校1

第百七話

 健全な高校生が夏休みにすることは夏休みの宿題にそれなりの遊びなどだろう。有楽斎たちの通っている高校では夏休みも行事が詰まっており、林間学校を終わらせた後にちゃんとした夏休みが始まる。

まぁ、中には夏休み中も課題をこなすために学校に行かなくてはいけないところもあるようなのでそれこそ学校によって違うはずである。

 バスに詰められて有楽斎たちがやってきたのは海にほど近い宿舎であった。ホテルに学校をくっつけたような形をしており、駐車場の隣にはダイヤモンド、テニスコートにサッカー場……他のスポーツ施設なども準備されている。

「海が近いのになんで室内プールまであるんだろうね」

「そりゃ雨が降って、挙句に雷が鳴った時のためにあるんじゃないのか」

「ふーん」

 二泊三日と言うあまり長いとは言えない時間の中で生徒たちがやることは一に勉強、二に勉強、三、四も勉強、その後に自由時間である。

「スケジュールひどすぎだよ……今からお昼ご飯食べて夕方まで勉強、夕飯食べたらお風呂の時間までまた勉強とか……」

「だな。最終日が自由時間って何だよ畜生……」

 自由時間は本当に自由時間であり、山に行こうが海に行こうが構いはしないらしい。勉強時間、自由時間、就寝時間等に問題行為を起こした生徒は特別授業に招待されるか、退学させられるそうなので心配ないそうである。

 この林間学校をさぼったものは軒並み特別授業を受けるそうだ。もちろん、林間学校に来てまでトイレに籠っていたりしていたものも対象に入るらしい。

「でも考えようによっては夏休みの宿題を終わらせるいいチャンスだね」

「そうだな……っというか、先輩達は大体この林間学校中に終わらせるらしいぜ」

「ふーん…」

「ま、勉強する場所は自分で選べるらしいし、勉強が出来る男って言うのを見せつけるのもいいかもしれないな」

「だね」

 右を見ても左を見ても生徒たちばかりである。人数が多すぎてみたこともない連中もいるのだが、男には興味が無い為に対象は半分に減らされるわけだ。

「お、可愛い子ちゃん発見っ。有楽斎、俺は行くぜ……」

 そういって走って行こうとした友人の手が誰かによってつかまれる。

「源君、私達に勉強教えてよ」

「うんうん」

「え、あ、俺はちょっと用事が……」

「ここって怖い噂があるらしいよ、源君っ」

「え、こわーい」

「ちょっと、私の源君に抱きつかないでよ」

「有楽斎っ……たすけて……」

 友人は『穴熊』のメンバー達に連れて行かれる。そんな彼を見て有楽斎は両手を合わせる。しかし、顔はにやけていた。

「かわいそうに……友人、君の敵は僕が取ってあげるよ。式を挙げるときは仲人として呼んであげるから成仏してね」

 急いで探さねば誰かに美少女が盗られると思っているのか有楽斎は必死に目を動かしていた。そして、着物を着た誰かに似たような美少女を発見したのだが……。

「お兄ちゃんっ。真帆子に勉強教えてよっ」

「………ま、真帆子………」

「吉瀬先輩っ」

「美奈代ちゃんまで……」

「私もいるわよ」

「………御手洗部長……」

 心の中で誰かに恨み事を言いたかったのだがあいにく誰もいなかった。周りの男子からは羨ましそうな表情を向けられているのだが論外、対象外、終わった相手では何かが進展するわけでもない。着物を着た美少女も今では姿が無かった。

「あら、不満そうね」

「不満じゃないですけど…」

「二人とも、こっちよ」

 花月が手招きをしていると二人やってきた。さすが御手洗先輩……僕の為に美少女を呼んでおいてくれたんですねと有楽斎は淡い期待を抱いた。

「有楽斎君、一緒に勉強しようよ」

「暇だからわからないところを教えてあげるわ」

「……神は死んだ」

 がっくりと肩を落とす有楽斎の前に現れたのは雪と理沙。終わった相手が二人増えたところで何かが変わるわけでもないだろう……変わった事と言えば周りの羨ましいと言うオーラがどす黒い嫉妬に変わったぐらいだろうか。

「お兄ちゃんっ、可愛い女の子に囲まれているからって変なこと考えちゃ駄目だよっ」

「うん、うん…そうだね。真帆子の言うとおりだ。お兄ちゃんが間違っていたよ……真面目に勉強してた方がよさそうだね……」

 勉強道具と筆記用具を手に持って有楽斎は哀愁を漂わせながら席に着いた。

「ところで、前々から噂になっていた『水着姿のキッス事件』はどうなったのよ」

「え」

 花月にそう言われて有楽斎はアホみたいな顔になった。

「それ何ですか。聞いたこともないような話ですね」

「そ、そうよ。何よそれ」

 理沙が珍しく話に加わってくるなんて珍しいなと思いながら有楽斎は詳細を尋ねることにした……もちろん、こんな雑談も見つかれば怒られるのは目に見えてわかっている。

「プールサイドで吉瀬君を押し倒し……ぐばっと食っちゃう話よ」

「食っちゃうって……」

「そんなことしてないわよっ。あれは人工呼吸なんだからっ」

 いまいちわからなかったが真帆子、雪、美奈代が信じられないと言う表情をしていた。

「は、人工呼吸って…」

「あんたが溺れるのが悪いのよ」

「く、苦しいって…」

 胸倉を掴まれて持ち上げられる。先生達が騒動に気付いたのかやってきて理沙が連れて行かれたのだった。

「ああ、かわいそうに」

「ま、その様子だと吉瀬君は何も覚えていないようね」

「そう……なんだね」

「そっか、よかったぁ」

「よくないけどよかったような…」

 各自が好き勝手にコメントしているが有楽斎にはさっぱりわからない話だ。それに、溺れている人を助けるのは当然のことなんだろう……理沙に嫌われているとばかり思っていたが命は助けてもらえる仲らしい。

「ところで…美奈代ちゃんの家って妖怪退治とかしてるんだね」

「え……」

 美奈代は触れてほしくない表情をしていたのだが有楽斎は気付いていない。これが何かの引き金になるとは誰も思わなかった。


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