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第100話:広まったあれ

第百話

 期末テストが迫ってきている。この前中間テストを終えたばかりのような気がしてならないが、たとえそうだったとしても高校生達は一生懸命勉強しなくてはいけない。

 中間テストでひどい点数を採ってしまった者たちは『僕達が悪かったんです。期末テストでは見返してやりますから見ていてください』といった言葉を発しながら勉強に取り組んでいた。これもこの高校の更生授業のおかげだろう。

「ジョニー、大五郎、我々は生まれ変わったのだ」

「そうだな。素晴らしき校長先生のご指導のもと、穢れ無き心を再び手に入れることが出来た」

「世界がこうも素晴らしく、輝いているとは誰が予想していただろうか……」

「今ならあの世界に行くことができそうだな」

「ああ、俺達が間違っていたっ」

「ナンパなんてしている場合ではなかったのだ」

 どういった教育が施されるのか知らないし、知りたいと思う生徒はいないだろう。中には知りたがる生徒もいたのだが調査を終えた者たちは皆一様に同じ言葉を吐きだすのだ。

『校長先生の素晴らしい教育を勝手に調べようなんておこがましかった……私は間違っていたのだ』

 有楽斎たちはそういった不気味な更生授業の話とは程遠いところに位置しているのだが、テストはやはりいい点数が採りたい。

「あー、ここの公式どうだったっけ」

「やっぱり反復しかないんだろうなぁ」

 そんなことを授業中にぶつぶつつぶやいたり、昼休みになればわからないところを教師に聞きに行ったり、勉強の得意そうな相手を探して聞いている。

「雪さん、ちょっとここを教えてくれないかな」

 弁当を食べ終わった有楽斎は早速ノートを広げて雪に見せた。

「え…」

 隣にいる野々村雪の頭の良さは群を抜いて素晴らしい。オール満点で中間テストを突破し、学年一位を獲得したのである。

 きっと今度のテストでもいい点数を採るだろうから有楽斎は彼女を頼った……だが、雪は有楽斎から目をそらして言うのだった。

「り、理沙に教えてもらうといいよ」

「え」

「有楽斎君の言う事なら理沙だって聞いてくれるだろうからさっ」

 そういって走り去ってしまったのだ。

「………なんでなんだろ」

「そりゃまー、あれだな。この前のあれは見事に広まっちまったからなぁ…野々村さんはじかに見ていたしちょっとだけショックだったんだろ」

 しきりに頷いて友人は雪の席に座る。

「この前のあれって何だっけ」

「あー、そうか。お前は気絶していたのか……」

 今更思いだしたと言わんばかりのことだったが有楽斎にとってはわからないことだった。

「よくわからないんだけど」

「ともかくだ、榊さんもそれなりにいい点数を採るし、そこまで知りたいのなら先生に聞くかどうかすればいいだろう。野々村さんも自分の勉強で手いっぱいの可能性もあるしな」

 友人にそう言われて有楽斎はしょうがなくノートをしまいこむ。友人に聞けばいいのではないだろうかと思うかもしれないが、悩んでいる青少年が二人に増えるだけだ。

「しょうがないから聞いてくるよ」

「おう、仲良くなってこいよ」

 何故仲良くなる必要があったのか考えてみた……ああ、仲良くなれば聞きやすくなるからかと勝手に解釈して有楽斎は席を立つ。

「一問だけだからなぁ…邪魔になるようだったら先生のところにいこう」

 口が悪そうで、悪態をつかれそうだが背に腹は代えられない。

 もうお昼を食べている人も少ないようで、他のクラスの生徒たちの姿もちらほら見受けられる。廊下から理沙の姿を確認すると有楽斎は意を決して教室に入るのであった。


百話です。記念すべき百話ですが特別編を投稿しようという気持ちにもなれず通常運行です。思えばタイトルも引っ張りすぎているような気がしてみれば三作目。特に人気があるわけでもないのに三作目ですよ。読んでもちーっとも面白くないし、いや、書いている段階では面白い個所もあるんですけどね。いざ読み直してみるとあれ、おっかしいなぁとなるわけです。まぁまぁ、前作、前々作は目的がありませんでしたが今回の主人公には目的がありますからね。何かしらの決着はつくはずでしょう。それがハッピーエンドになるかどうかはわかりませんけどね。いつも読んでいただいている読者様、この場を借りてお礼を述べておきます。ありがとうございます。今後もこの小説をよろしければ読んでください。

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