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「穏やかな日々の先に」

いつも読んでくださりありがとうございます。


フィラも少しずつ成長し、できることや関わる人が増えてきました。

そんな日々を描きながら、私自身も楽しく書かせていただいています。


さて、第14話です。

今回もお付き合いいただけたら嬉しいです。

フィラは、毎日を懸命に過ごしていた。


オズワルドに誇ってもらえる娘になりたくて。


ただ、その一心で。




「よくできていますね、フィラ姫」


ラルフの授業でも。


「以前よりも理解が早いです」



「……ほんとうですか……?」



「ええ。努力の成果です」



少し照れながらも、嬉しさがこみ上げる。




ローグのもとでも。


「ほう……ここまでできるようになったか」


魔法も、薬学も。


少しずつだが、確かな成長が見えていた。



「……まだ、もっとがんばります……!」




治療院でも。


週に一度通う事になったそこは、以前とは違う空気に包まれていた。



「……お願いします」


そう言って、腕を差し出す魔族。



「……はい」


フィラは丁寧に手当てをする。



かつて拒絶していた者たちも。


今では、少しずつ心を開いてくれていた。



そして、その傍らには――



「……」


ライオの姿。


無言のまま、フィラの背後に立ち。



危険がないか周囲を鋭い目で見渡している。



時にフィラに不躾な視線を向ける者がいれば。



「……」


ひと睨みで黙らせる。


それでも。


フィラに向けられる視線は、以前よりずっと柔らかいものになっていた。



「……ありがとうございます……」


小さく礼を言うと。



「……大切な御身ですから…」


ライオは、わずかに口元を緩めた。


その変化が、嬉しかった。




そんな日々を送るフィラを。


オズワルドは、いつも温かく見守っていた。



「……今日もよく頑張ったな」


そう言って。


ひょい、と抱き上げてくれる。



「……わ……!」


驚きながらも。


「……とうさま……」


嬉しくて。


自然と笑顔になる。



大きな手で、頭を撫でられる



それが、何より幸せだった。





ある日のことだった。



「……行くぞ」



オズワルドに連れられ、城の外へ出る。



向かった先は――


大公領の街。




「……すごい……」


活気があって、賑やかな通り。


行き交う人々の笑顔。


そこには、不安の影はなかった。



「閣下!」


「大公様!」


街の人々が、次々と声を上げる。


「今日もありがとうございます!」


「お体にはお気をつけて!」


そのすべてに。


オズワルドは短く強く頷き返していた。



(……とうさま……)


フィラの胸が、いっぱいになる。


(……すごい……)



この街を守っている人。


皆に慕われている人。



「……とうさま……」



「……なんだ」



「……とうさまは…みんなにしたわれていて…すごいです……」



素直な言葉。


オズワルドは一瞬だけ目を細め――


「……そうか」


それだけを返した。


でも、その唇は嬉しそうに弧を描いていた。





そんな穏やかな日々が続き――


いつのまにか二年の月日が流れていた。



フィラは、八歳になっていた。



ラルフの教えにより、令嬢としての立ち居振る舞いも身につき。


「お見事です、フィラ姫」


「……ありがとうございます」


以前よりも、ずっと堂々と振る舞えるようになっていた。



さらに――


「これは、領地の収支だ」


オズワルドから、領地経営についても教わるようになっていた。



「……むずかしい……です……」



「……ゆっくりでいい」



その言葉に、頷く。




すべてが。


順調に進んでいるかのように見えた。



――その日までは。




「……人間の軍が、森を越えて侵入しました」



ラルフからの報告が、静かに告げられる。



空気が、一変する



フィラの胸が、不安で締め付けられる。



(……侵攻?……)



オズワルドが立ち上がる。


「……出陣の準備を」



短い一言。


大公領がにわかに騒がしくなった。




出立の前。



フィラは、ぎゅっとその服を掴んだ。


「……父さま……」



不安が、溢れる。



そんなフィラを見て――


オズワルドは。


ふっと、微笑んだ。


「……大丈夫だ」


優しく、頭を撫でる。


「……すぐに戻る」



その言葉に。


フィラは、こくんと頷く。



軍を率いて去っていく背中。


(……父さま……)


祈るように、見つめる。



その日。


穏やかな日常は――



揺らぎ始めた。

第14話をお読みいただきありがとうございます。


フィラの成長や、周囲との関係の変化、そして穏やかな日常を描いた回でした。

少しずつ築かれてきたものが、これからどうなっていくのかも見守っていただけたら嬉しいです。


そしてラストで、物語はまた少し動き始めました。

次回もぜひお付き合いいただければ幸いです。

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