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時雨の怪談話  作者: 時雨


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1/6

※この話はフィクションです

いつからでしょう。私の夢が「都会に住む事」から「できるだけ都会から離れること」になったのは




日本の中でも東北の方に位置している少し古めの集落で私は育ちました。


私は祖母に

「都会に一度でも出たら陽が沈むまでには戻ってこなくてはならない」

と言われてきました。その時の私は幼かったのでその話をやけに信用してしまい、その時から私は都会に対しては謎の拒否感がありました


何故戻ってこなくてはならないのかは、祖母に聞いても教えてくれませんでした。


しばらくして祖母が亡くなり、祖母に言われた事を思い出すこともなくなってきました。


それから少し経ち、私の都会に対する気持ちは拒否感から憧れへと変わっていきました。なにせ、田舎なのでもちろんでかいスーパーなどもありませんし、近所の方もほとんどいませんでしたから。


ある日、実弟と共に都会に行く事があったんですよね。その日は雨が降っていたにも関わらず、初めての都会という事で私と弟は共に興奮している状態でした。


バスに乗って数時間、都会の方に着いたのは昼の2時ぐらいでした。


その日は父親と弟と初めて大きなスーパーに入ったり、初めてのスマホを買ってもらったりして、とても充実した楽しいひとときだったのを覚えています


気付けば陽はすでに沈んでしまい、父親に「そろそろ帰らないとお母さんに叱られちゃうぞぉ!」と言われながらバスに乗車し帰路につきました


それからです。日常で変なモノが見えるようになり始めたのは


次の日、弟と川へ釣りに行ったのですが、その時山の遠くに何か白くて細長いモノが揺れていることに気づいたんです。その時の私は「どうせ焚き火の煙とかだろう」とスルーし、そのまま家に帰ってしまいました。


その次の日、私は風邪をひいてしまい部屋の窓から外を眺めていたのですが、見えたんですよね

昨日より大きくなった白いモノが。

その時の私はそれが何かに気付けておらず、結局その日もスルーしてしまいました。


そうして日が過ぎていきます。過ぎていくごとに白いモノは、私に必ず見える位置で、段々と近づいてきていました。


ある日、気付いちゃったんですよね。その白いモノがとてつもなく大きな腕で、こちらに向かって手を振っていることに


流石に怖くなった私はそういったことに詳しい祖父に相談をしました。


その時の祖父の顔の険しさと声の張りは今でも忘れません

「お前、おばあちゃんから小さい頃に何か話されなかったか!?」

そう聞かれた私は確かに昔、都会へ出たら陽が沈む前に戻らなければいけないと祖母に言われた事を思い出しました。

それを伝えようとした私を祖父が遮り

「…話されたんだな」

それだけ言って溜め息を吐きました。


祖父が言うには、その手は昔、都会に憧れて集落を出て行った子供がその日の夜に交通事故で死んでしまった時の呪いなのだそうです。


都会に憧れて出ていく集落の人間を自分と同じ“可哀想”なモノにするための


それを聞いた私は怖くて怖くて仕方なくなり、祖父にどうにかならないかと聞きました


祖父によると、今後都会に出ず、この呪いを自分の血族に伝えていけば平均寿命ほどは生きられると、そう教えてくれました。


その日から私は、都会へと足を踏み入れる事を無くし、子供を作りその子に話を伝える事で何とか延命を続けてきました。が、それも今日で終わりかもしれません。




私は今さっきまで綴った文の中で二つ、嘘をつきました。


それは「この話を信じた人に呪いが移る」と言う事と、「このーーーーーーーーーーです」と言う事


真実は「この話を知ってしまった人に呪いが移る」

事と…


私が懸命に子供を作り続け、疲労していく日常もこれでオシマイ。この話が読まれれば読まれるほど私への呪いは軽くなる


ここまで読んでくださり、有難うございました。


※この話はノンフィクションです

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