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開発

作者: aristotles200

直径30kmほどの

巨大な穴がある

底は、深く、闇しか見えない


巨大な穴がある

衛星画像で見ると

琵琶湖ぐらいの大きさがあり

底は、とても深く

闇しか見えない


飛行機から見ると

中心から伸びた闇の渦が

円を描いて

動いているかのように見える

禁忌を直感させる


ドローンや探査ロボットを

数十回、送り込むも

渦にかかると画像は消えた

二度と戻ってこない

全く、わからない存在


何故、このような

非合理的な穴が存在するのか

科学の粋を結集して

潜水艦と宇宙船を合わせた

探査船が開発された


穴底までたどり着き

何があるのか調査する

帰りは、ロケットで地上へ戻る

無人機が数度、投入されたが

高額な機体は闇に消えた


そこで

脱出ロケットを複数台載せた

数百人の乗員からなる

巨大有人探査船が造られた

時代は宇宙ではない、この穴だ

何があるのか、突き止めて見せる


華々しいセレモニーのあと

ゆっくりと穴底に向かう巨大調査船

そのまま消息を絶った

脱出ロケット、1台も帰還出来ない

地獄に通じているのかも知れない


尊い犠牲を払い

方針を180°転回する

二度と船は送るまい

地上から、円を描いて

巨大な道を穴底まで引くのだ


もちろん、鉄道のレールも敷く

10kmの深さごとに

地中に街を、いくつも建設し

探査の中継地とする

穴底はフロンティアと化した


地球の地殻は66km


既に三つの街が建設され

地上に近いほど広く、高く

大きな都市が建設された

それぞれ数十万人が

生活を営む


地下資源には困らない

各層で核融合発電所が建てられた

第一層は

穴底、最大の都市が広がり

メガロポリスと化した

第二層は

巨大な海ほどの地底湖が広がる

農業地域として発展している

第三層は

地下資源の宝庫であり

大規模な採掘が行われている


文字通りのフロンティア

穴底の謎などどうでもいい

競って開発が進む

人間は、地下へと潜りだす

いつの頃か

バベルの大穴と呼ばれる


開発はすすむ

直径はおよそ30kmの大穴

巨大な地下へとすすむ周縁道路

地下40kmまで掘り進める

どんどん開発は続く


もはや闇の渦や、禁忌など

有っても関係ない

圧倒的な物量と

数十万の人間が押し寄せる

敵う存在などあるものか


   ✳


穴の底では

中心から伸びた闇の渦が

勢いを増している

意識があるかのように

天上を睨みつけている


人間たちに対しての

敵意を

剥き出しにしている

   ・

海を、大地を、空を

汚染し続ける

人間たちに対しての

どす黒い怒り


最奥の、穴の底は

少しずつ、少しずつ

ヒビが広がりつつある

崩れだしている

その下には

どす黒くも紅いマグマが

闇を照らす

誰も、気づいていない

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