表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
好きバレした掛田さんが可愛すぎる話  作者: 冷泉七都
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/50

第47話 神戸-3

 最後の目的地の最寄り駅までやってきた。

 そして改札を出て、ひたすら川沿いの坂道を上の方へのぼっていく。


「見て、後ろに海が見えるよ」

「ん?」


 風花がそう言うのを聞いて振り返ってみると、住宅街の奥に青い海がある。

 間近で見るのとは一味違った、特別な良さを感じ取った。


「良い景色だな――」


 空はオレンジ色になりはじめ、まさしく夕焼けと言った雰囲気だ。

 このエモーショナルな情景に、思わず先走って、風花に気持ちを伝えてしまいそう。


「海ってやっぱり良いよね」

「あぁ、ほんとにそう」


 俺たちは元々の進行方向を向いて、再び歩き出した。


「ねぇ、晴路。今向かって行ってるのって、あそこだよね」


 風花は駅と方角で見当が付いたのだろう、そう言ってきた。

 あそこ――だけで、俺にもどこのことか伝わったのは、一度、その場所の名前が会話の中に出てきていたからだ。


「うん。風花がスマホを見て、いいなって言ってたから、一緒に行こうと思って――」

「そっか……。嬉しい」


 風花の笑顔は、夕焼けよりも眩しかった。


 …………。


 麓にある乗り場からロープウェイに乗り、山の中腹あたりまでやってきた。

 駅から外に出ると、無数の青や赤に緑などの電飾が視界に飛び込んできた。

 イルミネーションの煌々とした光が、とても美しい。


「おー……」


 風花は感嘆した。

 左右を見渡して、目を輝かせている。


「予想以上にすごいな――」

「ほんと、そう。なんか、もう、感動してきたよ」

「早くない?」

「晴路もすごいすごい、言ってんじゃん」


 それはそうなのだが……。

 俺の言葉にも、そんな気持ちを向けてくれるのか、だんだん不安になってくる。

 喜んでくれる保証なんて、どこにもない――。

 …………俺は邪念を振り払おうと、目の前の景色を眺めた。


「行こっか――」


 風花は急かすように、腕を引っ張ってくる。


 イルミネーションの近くに寄ると、明かりでぼんやりとだが、花が咲いているのが見えた。

 ここは昼間、ガーデンでさまざまな花が植えられている場所なのだ。


「花も綺麗――」


 青色の花を見ている風花は、そう言った。


「また、昼にも来たいな……」

「うんうんっ、そうしよそうしよっ」

「あぁ」


 風花が勢いよくこちらを振り返って応える。

 その勢いに、少し押されてしまった。


「いつか。いや絶対に、一緒に来るよ――」

「うん、絶対だ」


 俺の返答を聞いて満足げに頷いた風花は、俺の手を引っ張りながら、奥へ奥へと進んでいく。

 しかしスピードはゆっくりで、俺はこの時間をしっかりと噛み締めた。


 …………。


 景色の眺めながらだと、あっという間に時間は過ぎていき、一時間ぐらいが経っていた。

 そろそろ帰りに向かう時間だ。


 うん――。

 俺は心の中で、強く決心する。

 帰ろうという話題が出る前に、話をしてしまおう。

 長引かせても良いことはない。


 なのに……


「もうこんな時間だね――」


 風花はそう言った。

 俺は少し焦ったが、どうするべきかすぐに考えた。


「ちょっとこっち来てくれる?」


 さっきまでとは異なり、俺が風花の腕を引っ張った。

 優しい手つきをと注意しながら歩いていく。

 この手を、決して離したくなかった。


 周囲に人は全くいない。

 このあたりにはイルミネーションもないからそうだと思ったのだが、当たっていたようだ。


 風花と向き合う。

 風花の顔が、赤らんでいる気がする。


 俺は今から…………。

 風花に、俺の思いを伝える――――。


 無性に気持ちが溢れてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ