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好きバレした掛田さんが可愛すぎる話  作者: 冷泉七都
第四章

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44/50

第44話 外見上交際

 風花の家に行った翌朝――。

 俺が駅に向かうと、そこには大きく手を振っている人がいた。

 通勤通学の人々の注目を浴びている。

 居た堪れなくなって、俺はその人の元へと早歩きをした。


「風花、なんでいるの?」


 俺の最寄り駅の改札の前にいるはずがないのに、風花はそこにいた。


「一緒に行きたいから」

「いつから待ってたんだ?」

「20分前くらいからかな――」


 風花は平気な声で言う。

 しかし、たかが20分でも、何もせずに待つというのは苦痛だろう。


「言ってくれたら、時間合わせたのに――」

「だって、驚かせたかったし」


 ツンとして言ったが、顔を斜め下に向けていて、恥ずかしがっている様子だ。


「もし明日も来るなら、時間教えてほしい。合わせるから」

「うん、わかった」

「よろしく」


 もし――なんて不確かなことを言ったが、明日も来てくれることを願っている自分もいた。


「じゃあ、行こっか」

「そうだな」


 俺たちは改札の中に入り、ホームへと向かう。

 そしてやってきた電車に乗った。



   / / / / /



「……風花、近すぎない?」


 学校の最寄り駅を出たあたりから、風花の距離感が二人きりのときと同じくらいになっている。

 肩を触れ合わせて、互いに体温を感じるほどだ。


「まぁ、晴路が昨日言ってくれたからね。風花ともっとベタベタしたいって――」

「そこまでは言ってないんだが……」

「でも、そんなもんでしょ。ね」


 風花はそう言って、俺の手を握ってきた。

 水族館のときもした、恋人繋ぎではない繋ぎ方だから、やめた方がいいんじゃない? とは言えない。

 これは諦めて、みんなに見せつけるしかないのだろう。


 ふと隣の風花を見ると、気づいたのか、風花は俺を見てくれた。

 そして風花が笑顔になって、俺も少し笑ってしまった。

 このやり取りも何度かあった気がするが、いつになっても嬉しさがある。


「昨日よりも見られてるよ」


 風花は唐突に言ってきた。

 周りを歩いている生徒のことだろうと、俺は周囲を見渡す。

 確かに風花の言うとおりで、俺たちを見る目線が異様に多かった。

 昨日はあの写真を知ってる人だけに見られていたのかもしれないが、今日は誰の目から見ても付き合っているようで、一年生や三年生にも見られているっぽい。


「そうだな……。なら、手、離すか?」

「いや。そう言うことじゃない」


 風花が不機嫌そうになった。

 誇張して、俺の手を強く握ってくる。

 少し痛いが温かい。


「ごめん、ごめん」

「……もう」


 そう溜め息を吐いて、手の力を緩めてくれた。

 怒っているようで怒っていない、その姿がなんだか可愛く思った。


 そしてしばらく、なにも話さずに学校へと歩いて行く。


 …………。


「神戸、楽しみにしてるよ」

「あぁ、俺もそうだ」


 風花は軽く、ふふ――と笑った。

 妖艶な雰囲気を少しだけ感じた。


「晴路はもう逃げられないんだからね。みんなにこんな姿を見られてるんだから」


 風花は握っている手を前に引っ張ってきた。

 それは、俺に見せつけるように――。

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