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第3話 小さな手の石と王座で待つ
この物語の中で一番大事にしたシーンです。
子供たちの勇気をぜひ見届けてください。
親を亡くした子供たちが、小さな石を拾って兵に投げつける。
「ユリアお姉ちゃんをいじめるな!」
「ここは……ボクたちの家なんだ!」
それは鎧にはじかれ傷ひとつつかない。
だがその姿を見た大人たちは顔を覆って泣き、そして立ち上がった。
「誰かが立たなきゃ……俺たちが守らなきゃ!」
こうしてユリアを中心に、街はひとつの軍となった。
小さな手が投げた石が、大人たちの心を動かした。
ついに街は、ユリアを中心に一つとなる。
***
高台からその様子を見下ろすカイ。
圧倒的に平民たちが倒れていくのに、彼らは何度でも立ち上がる。
長くその光景を見つめたカイは、目を伏せ城へと引き返した。
「王座で待つ。……そこで終わらせよう、ユリア。」
「王座で待つ」――その言葉は、終わりの始まりだった。
決戦の時が迫る。
次回は最終話です。
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。