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ー第2話本田宗一郎ものづくり伝承館

二股の碑が右を飛び過ぎた。

本田宗一郎ものづくり伝承館の入口前に壁がセリ上がり、入口を隠す。下村は上から飛び込んだ。操縦しているのは、自立走行するFTRだが。

入口前の地面がゆっくり下降し、ラボの下降廊下が現れた。FTRはゆっくり下って行く。

100mほど下って、ハッチが有る。

ピシッ

と開く。中に進み、FTRは丸い台の上に上がり止まった。下からアームが出て固定される。

脳無線Runログアウト

の文字が出て、全天周モニターが消え天盖フードが開く。脚の装甲も

ヒュン

ヒュン

ヒュン

と開いた。


「驚いたが助かった。礼を言う」

作業着に作業帽を被った男が言った。横に同じ作業着だが若い女性が立っている。

「何がどうなってる?」

「こちらに。ご説明します」

若い女性の方が言った。


個室に案内され、湯呑に煎茶が置かれた。

「本田2輪研究所の村松儀平です。ようこそ当研究所に、歓迎します」

商店街を歩けば普通にすれ違うオッサンだ。

「下村勤です。ここはいったい?」

「本田宗一郎氏がホンダ技研とは別に作ったプライベートな研究所です。上は元の町役場でした。本田宗一郎氏が亡くなった後、トヨタ、ヤマハ、スズキ、カワサキの社長達がプライベートで出資して、元々の地下施設を拡張して巨大なラボにしました。二股町のほぼ地下はラボになってます。」

「プライベート?ポケットマネーで?」

「1人頭、50億と聴いてます」

「まじで?」

「まじです。2輪は株主に受けない。だが、元々が自転車にモーターを付けて始まったメーカーが2輪を捨てたら廃る……そんな思いだったようですね。各社長は。」

「で。あのFTRは?」

「自立走行するバイクと脳無線Runでリンクさせて走る実験車輌です。反重力クラフトを実装してます。最高速度は飛行時にマッハ5が出る設計になってます。そのための装甲と全天周モニターと兼ねた天盖フード。ただ、脳無線Runが起動しない」

「パトカーに追われてたみたいですが?」

「CIAが地元警察を使って、実験車輌を鹵穫しようとしたみたいですね。どうやって嗅ぎ付けたか。国会議員辺りのリークと見てます。あなたのFTRを確保したようで、すでに解放されて、こちらに向かってます」

「脳無線Runが起動しないので、乗り換えた?」

「危なかった。ただ脳無線Runを起動させるには、起動させられる能力が要るようで。それのサーチ機能があなたを探知した」

「ガンダムのサイコミュを起動させるニュータイプみたいな?」

「いや。接続の相性みたいです。まだ接続する脳パターンが狭い。ゆくゆくは多くすれば、誰でも起動出来るようになると考えてます」

「マッハ5で飛んだら兵器だ」

「まさに。馬から自動車に鉄道、そこから飛行機。飛行機の次の交通手段が自立走行飛行2輪。4輪は空気抵抗が大きい。ただ制御が難しい。制御は自立走行システムがやり、意志は脳無線Runで直感的にやる」

「奪われたら戦争が変わる」

「我々は兵器を作るつもりも、兵器にさせるつもりもない」

「今、守れるのは脳無線Runを起動させられる僕だけ?」

「まさに。ここもじきにCIAは嗅ぎ付ける。その時はお願いしたいが?」

「やりましょう。本田宗一郎の意志なら」

「判っていただけるとは思わなかった」

「飛行機の次の交通手段。まさに本田宗一郎の理念でしょ。見過ごせません」

村松は下村の手を握って泣いた。

もっとも、泣く事になるのは下村だったが…。

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