結婚願望、あるか、ないか?
好きな人ができたら、大々的に公表して、結婚して新しい種族を産んでもらう。
血で生み出したこども達がこれだけ可愛いのだから、人間的な行為で産んでもらったら、もっと愛着が湧くだろうなとレオンは思った。
人間に近しかった頃ですら、色事に現を抜かしている余裕はなかった。
クリスマスやバレンタインデーといった行事で、積極的だったのは雪鬼だ。
いつも雪鬼が労いの言葉をかけてくれたり、プレゼントを贈ってくれたりした。
だからと言って、『好きな人』に括られるかどうかはわからない。
『大切な人』ではあるが。
「俺達にも、いつか好きな人ができるだろうか」
「オレもいつか結婚してみたい。どんな感じだ」
「結婚したことがないから、わかんないんだよ」
「俺は好きな人ができても、セックスはしないだろう」
「真面目だもんね。神に身を捧げたって言ってたし」
「人間的な快楽の欲求は、酒などで充分味わっている。あまり堕落すると、罰が当たってしまうだろう? お前達二人と違って、神は俺には厳しいんだ。神族としての力を失うのは、何にも代えがたい苦痛だ」
「そのための一生童貞か」
「そうなんだね」
「お前達も神族に生まれていれば、神との繋がりが安らぎであることがわかるはずだ」
目を閉じて、両手を交差させて胸に当てた、黄色フリルパジャマ神王。
交換留学生達が感心していた。
「結婚願望ですか……ぼくにはないですね。結婚は人生の墓場って言いますし。なんか、面倒そうです」
交換留学生の宇宙人男子が苦虫を噛み潰したような顔をした。
「わたしはあります! いつか素敵な人と結婚して、憧れのお姫様抱っこをしてもらうんです!! キャー」
頬に手を当てて、真っ赤な顔で告白する人間の交換留学生女子。
みんなの意見は参考になる。
レオンは結婚願望ありかなしかで言うと、断然ありだ。
女性と懇意の仲になったことがないので、どんなものか知りたい知的好奇心もある。
それに、前世では許嫁がいたはずだ。
一度も会ったことがないので詳しくは知らないが。
大きな家主とあっては、世継ぎを残さないわけにいかなかった。
結婚前に死んでしまったので、跡継ぎ問題に鬼族のみんなが頭を悩ませていた。
そこへ蘇ったレオンがやってきたのだから、藁をも掴む思いだっただろう。
途切れさせてはいけない立派な家もある。
「私は宇宙人ですから、宇宙人と結婚すると思います。宇宙人の中にもいい人はいますし。こうして一緒に留学に来ている男子だって……」
と言いつつ、結婚は人生の墓場と言っていた宇宙人男子に目配せをする宇宙人女子。
宇宙人男子は思いのほか、赤くなった。
まるで初々しいカップルのようだった。
甘い空気が充満している。
砂糖を食べている気分になった。
「そ、それはつまり、ぼくのことが……」
「好きってこと!!」
きゃーと交換留学生の女子達が騒ぐ。
パジャマパーティで一組のカップルが成立した。
みんなでわいわいがやがや大騒ぎ。
三王はカップルの成立を祝福した。
宇宙人にも幸あれと。




