神王のトラウマ
それから約五十年が経過した。
レオンは鬼山の屋敷に顔を出したり、総理を辞任させたりした。
新しい総理はもっと責任感のある者にした。
嘘を吐いたら腹を斬って詫びますと言った、若い男性。
犯罪が激化して帯刀を許される時代、武士道精神を持つ者も存在する。
防衛力強化のため、レオンは防御結界を張れるペンダントを開発。
神王に売りさばく。
いつ如何なるときも身に着けていれば、襲撃に備えられる。
三王で会議して、銃や剣を携帯させるようにした。
無抵抗のまま死ぬことはなくなるだろう。
各国で訓練を開始する。
力を持つ者の責任として、弱者に銃や剣を向けてはならない、力に溺れてはならないと訓示した。
今までなんの力も持たなかった者が、効果を付与された銃や剣を使うと、その力を使ってやりたい放題をする可能性もある。
だから三王は示したのだ。
力は守るために身に付けるものだと。
強くなければ、守れないから。
神王や魔王の手が届かないところは、自分の力で強くなってもらうしかなかったから。
久々に三王はアルカディアの神王城で会議する。
「この約五十年でやれたことは大きかったな。感謝する、邪王、魔王」
「いいよ。開発費もがっぽりもらったし。困ったときはお互い様でしょ。アルカディアの通貨で統一して正解だったね」
「ああ。事件が減ったのはいいことだが、実戦を想定しての訓練、事故や怪我は多いぞ。学校で怪我するのは悪いことではないのか?」
「それは俺にはわからん……。が、誰かが意見を言ってくれば、木剣などを使って生傷を減らすことは可能だろう」
「誰も何も言わない」
「じゃあ、いいんじゃないの? 自分の身を守るための訓練だから、効果が付与された銃や剣の恐ろしさを、身を以て体感するということで」
「そうか……。確かに、怪我などを恐れていたら、強くはなれないな。実戦を想定した訓練、今暫く続けよう」
「これを踏まえて、国の防衛力も高めるか」
「宇宙人に戦争をいつ仕掛けられてもいいように?」
「それは……」
神王は苦い顔をする。
神王にとって、宇宙人はトラウマらしい。
大事なこども達を殺されたり傷付けられたりしているから。
レオンが逆の立場だったら、トラウマになるどころか、トラウマにするレベルで激怒していたかもしれない。
ターゲットにされたのが、たまたま神族だっただけ。
ステージで演奏していたレオンのこども達が狙われてもおかしくなかった。
だから神王だけが気に病む必要はない。
「一部の宇宙人留学生は親切だけども、やっぱり宇宙人は敵だよね」
「神力と聖力は相性がいいはずなんだが、宇宙人の攻撃は我々には有効のようだ。闇の力を操るのだろうか。先日の寄生虫攻撃もそうだった。いとも容易く操られた。あれは人間の仕業だが。どうも神族が真の黒幕の宇宙人に対して、弱すぎるような気がするな」
神王は拳を握り締め、唇を血が滲むまで噛んだ。
目の前で事件が起きて、助けられないことが一番悔しいのだろう。
『平和と安寧を守るためならば、なんだってしてやる』と神王は言い放った。
「逆に、聖力は魔力と邪力とは相性が悪いと聞いた。宇宙人に対抗する術があるとすれば、オレ達だな」
「うん。だけど、僕らにとっても聖力は弱点だよ」
「聖剣と魔剣、戦ったらどっちが強いんだろうな」
聖剣が魔を滅する剣であれば、聖剣の方が強い。
「悪い宇宙人が使うのは、闇の剣だろう。闇の剣相手ならば、どうなるかはわかるまい」




