闇の剣と聖剣
「寄生虫を使って対象者を操る方法を知っているか?」
「――! 起こされたんですか、あのおぞましい術が」
宇宙人の交換留学生の少年の顔が蒼白になる。
よほど恐怖で戦く術なのだろう。
少年は視線を落として、ぽつりぽつりと話し出す。
「ぼくの家系では、寄生虫操者の術と呼んでいます。強力な精神破壊術なので、禁止されているのですが……」
「屍体を操る術も知ってる?」
「はい。それも禁止されていますが、一部の宇宙人がやっているのを、耳にしたことがあります。なんでも、宇宙連合軍をつくって、戦争を起こすのが目的だとか」
「君も巻き込まれるか?」
神王が訊く。
「わかりません。寄生虫に寄生された人を助ける術はありません。殺すことでしか救えないんです」
「僕にも効きそう?」
自分を指差すレオン。
交換留学生の宇宙人の少年は、うーんと考え込む。
「結界を破る力はないかと。結界を張れない人が対象です」
真剣に、慎重に交換留学生の宇宙人の少年が答える。
「神王は結界張ってないね。なんか、装置開発しようか?」
「いや、俺はいい。俺を狙うなど、正気の沙汰じゃない」
「宇宙人は結構強いですよ。宇宙パワーが凝縮された闇の剣を使います。宇宙船も今やアメリカの選管空母を遥かに凌ぐ強力な秘密兵器を開発中ですし。宇宙人の持つ聖力はとても強いんです。言葉に表しきれないほど」
「聖力なのに、闇の剣?」
「聖剣を使うのは、良い宇宙人だけです」
なんと、朝露浪漫は良い宇宙人だったそうだ。
聖力の持つ支配力は尋常なものではない、と宇宙人の交換留学生の少年が口にする。
「私の家系でも、闇の剣は使いませんね。使うと呪われるといわれている、曰く付きの剣ですから。破壊衝動に呑まれるそうです」
交換留学生の宇宙人の少女が付け足した。
「自我を失うほどのヤバイ剣ってこと?」
「そうですね」
「神族が寄生虫の術にかかっていたとき、どんな剣を持っていた?」
「あれは闇の剣ではありません。闇の剣はもっと禍々しいものです」
交換留学生の宇宙人の少女は、両肩を押さえて震えた。
世に存在していることが大罪だと唇を震わせて呟く。
あれは何億人の生け贄を捧げて誕生する剣、正に漆黒の闇の剣だという。
魔剣よりもおどろおどろしい。
魔剣は幾多の血を啜り、伝承されて魔剣化する。
ただの一度も折れない剣。
ただの一度も敗北を赦されない剣。
それが魔剣。
聖剣はきっと魔を滅する剣なのだろう。
魔剣は魔王が持っているが、普段は携帯していないようだ。
地獄の炎で事足りると本人は豪語している。
魔王が魔剣を持ち出したとき、大戦が勃発しているときだろう。
今回の件は平和ボケしていたレオンが招いた結果だと自責の念に駆られる。
弱者を守る楯が必要なことを学んだ。
外から来た者を安易に信用してはいけない。
「私達は宇宙人で、邪王様達の敵かもしれませんが、私には戦う意思も侵略する意思もありません。それはこの交換留学生みんなが思っていることだと思います。どうか嫌いにならないでください」
「嫌いにはならないよ。君達がやったことじゃないからね」
「だが警戒はする。それだけだ」




