商業の話で盛り上がれ
「そうか。その手があったか」
魔王が得心したように、手をポンと叩く。
海洋資源が豊富ということは、もずくやわかめ、海苔といった身体に良いものが豊富ということ。
魔王は知識がないので、そのことに気づかなかったが、レオンは昔から健康食品には詳しい。
食べ物は無添加や有機栽培のものを選ぶ。
添加物の摂りすぎで病気になったり、太りやすくなったりするので。
飲み物は緑茶か水をよく飲んでいた。
あとは国産蜂蜜入りクエン酸ドリンク。
「やはり知識は大事だな。邪王は元地球人だから、オレよりも詳しい。もっと教えてくれ」
「授業料もらうよ?」
「俺は何をすれば、稼げる? 資源も人も山ほどいるが」
「神王……、そういうのは人に訊くものじゃないよ。商才ならあるでしょ。教祖として崇められてるんだから。教祖ってのはねぇ、最早神みたいなものなんだよ。信者からすれば」
レオンも鬼山怜音だったとき、密かに信者が集まって来ていた。
教祖として新興宗教を開いたわけではなかったが、怜音は日本の最高権力者だったので、群がる者は後を絶たず。
マスコミに引っ張りだこにされたり、毎日屋敷の近くで待ち伏せされたり、心労が絶えなかった。
幼い頃からの厳しい修行に耐えてきたので、人の痛みがわかる理想の上司だったから。
カリスマは呪いレベルに高く、黙っていても自然と人が寄って来る。
気品に満ち溢れていた。
今も尚、レオンのカリスマ性は衰えていない。
教祖として君臨しやすいのは、実はレオンの方である。
本人が宗教の教祖になるのを望んでいないだけで、才能はある。残念ながら。
「神王は僕の国からお金を稼ぎたいの?」
「ああ」
「じゃあ、労働力をちょうだい。出稼ぎに来ればいい。今も充分準備が早いんだけど、もっと早くなるかも。ついでに僕の血族ともっと仲良くなってよ。お互いに国を行き来するでしょ? 不法入国とか言わなくなるように、国境をなくそう」
「それは名案だな!! 神族は命令には忠実だ。天使達もそちらへ送っていいか?」
「きっちり働いてくれるなら、歓迎するよ」
「話はまとまったか?」
目を閉じて手を組んだ魔王が口を挟む。
「邪王はなんだかんだ言いつつ、生来の性格ゆえ、面倒見がいいな。授業料、結局取らなかったのもあるが。そりゃ慕われるわけだ。オレも貴様が上司なら、文句は言わん」
「あはは。褒めてくれてありがとう。長だったから、人の上に立って物事を教えるのは、得意なんだ。そうなるように、育てられたからね」
レオンは照れ臭そうに頬をかいた。
魔王も相当カリスマ性があるので、彼に褒められるのは素直に嬉しい。
【創世の三王】は、その地位が並び立つだけあって、皆カリスマの塊。
他者を動かす力を持っている。
【創世の三王】に特攻しろと命令されれば、血族は皆、二つ返事で快諾するに違いない。
強大なる王を頂点として、一枚岩になる各々の血族。
血の繋がりは海よりも深く、闇よりも濃い。
創造神ヨウゲツの生み出した王達は、やがて地球人類にも良い影響をもたらすだろう。
悪の宇宙人のあくどい戦略を打ち砕いて。
「カラオケ大会、盛り上がるといいな」
神王が言った。
「うん。平穏無事に終わるといいな」




