音楽祭、始まる
レオンが一通り話を終えると、鬼っ娘三人娘はニコニコと笑顔で見送った。
レオンは次なる楽屋を目指して奔走する。
今日は出演するみんなに差し入れをするつもりだ。
頑張れ、僕! と己を鼓舞した。
ビジュアル系のロックバンドの鬼族達には、のど飴を。
ピアノ演奏をする、大きなハリネズミには、餌をあげた。
バイオリン演奏をする獣人には、リラックスできるソファをあげた。
他にも演奏者がいるので、レオンは急いで回った。
十時五分前になって、観客が席に座り始めた。
レオンは邪竜イコロスとアクロスに頼んで、炎と氷を固めた椅子をつくってもらった。
眺めのいい特等席で、宙に浮いている。
これならば、みんなの演奏が見られる。
神王と魔王の分もよろしくと頼んで、またつくらせた。
二頭とも快く返事をした。
「主が楽しみにしていた音楽祭、我等も炎と氷で一層盛り上げるぞ、兄者」
「主様のお役に立てる。これぞありがたきことです。幸多からんことです。いつでも呼びつけて使ってくださるとありがたいです」
「じゃあ、炎と氷でステージの真上にアーチのオブジェをつくって欲しいな。この椅子みたいに、固めて。きっと綺麗だよ」
レオンはニコッと笑って、二頭にお願いした。
二頭とも頷いて、炎と氷を口から吹き出して固めていく。
炎と氷のマーブル模様のアーチ型オブジェクトが完成した。
早めに席に座っていた観客がわっと騒いでいる。
レオンは来るのが遅い二人に、伝令を飛ばすようにとふくろうに命じた。
そろそろ携帯電話を開発すべきだろうかとレオンは迷った。
交換留学生達には、地上の最前列に座らせている。
こういう祭りは仲間内で盛り上がった方が楽しめるものだ。
レオン達は上から皆を眺めるのが好きなのだ。
みんなも上で見てもらえるとありがたいと言っていた。
上だとあまり意識しないから、緊張しないらしい。
神が見ているのと同じ感覚だから。
ふくろうが一瞬で帰って来て、神王と魔王を引き連れてきた。
たくさんの風船のヒモを掴んでぶら下がっている状態で、二人が登場。
そして二人とも炎と氷の椅子に座った。
「悪い悪い。少し寝坊してしまった」と魔王。
「十時は早いな、もう始まる」
「もう二人とも。遅いよ! 僕の血族達の雄姿をとくとご覧あれ」
「ああ。お前の育てたこども達だ」
「うん。僕が生んで、僕が育てた。みんないい子だよ」
一曲目が始まる。
アイドルユニット鬼っ娘の『鬼は幸 福は鬼』のイントロが流れる。
盛り上がれる曲にするため、ハイテンションで踊ってもらっている。
歌う順番は鬼娘が最初でセンター、鬼子が二番目で右側、鬼豆が三番目で左側だ。
『鬼は幸!』
『福は鬼!』
『ちょっと待ってよ、外になんか出さないで!』
『『『私達は福を呼んでくる神様みたいなー存在☆』』』
ステージ上でひらひらの服を見せびらかし、指でハートをつくる。
『崇めてもいいのよ?』
『奉ってもいいのよ?』
『幸せで満たされる』
『『『あなたもースキスキー! 鬼っ娘よ!!』』』
両手を広げて、ハートピースを三人でつくる鬼っ娘。
思った以上に盛り上がっていた。
鬼族の中で特に可愛い容姿の鬼娘、鬼子、鬼豆を選んだのが正解だったか。
ウインクも笑顔も盛大に振りまいて、観客を湧かせる。
燃えと萌えが詰まった最高のステージだ。




