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血気盛んな鬼部長  作者: 社容尊悟
第0章 鬼部長誕生

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血と臓物を好む悪魔

「僕はアメリアで音楽祭をやるよ。みんな楽しんでくれると嬉しいな」

「悪魔も楽しめる音楽祭ですか? 邪王様」

「楽しめないこともあるんだ」

「ありますあります。神への賛美歌などを歌われたら、頭が割れるように痛むのです。我々は悪魔ですからね。魔王様を唯一神とする」

「だけど、僕にも様付けしてるよね」

「同格とは、即ち魔王様が三柱いらっしゃるようなものです。矛盾していません」


 無茶苦茶な論だなとレオンは水を飲みながら、ひとりごちた。

 つまり、自分も魔王だと思われているということか。

 強さは同格ではないのだが。

 しかし、崇拝されているということは、どんな命令もすんなり聞き入れるのだろう。

 レオンは怜音であった頃も、他者に命令する立場だった。

 上に立つ者として、皆の手本になるように生きろと父親に言いつけられた。

 争いの火種を撒いた張本人だったが、父親を憎んではいない。

 日本の妖である父親が、アメリカ人のノーマルの女性を好きになって、子を成した。

 それが鬼山怜音だ。


 そののちに、母親が病で死に、新たな母親を連れて来た。

 それが怜音の弟の母親、日本の妖だ。

 兄が混血で、弟が純血。

 真祖を当主に据えるはずだった鬼山家のルールが、怜音の代で変わった。

 混血であろうが、当主になれる。

 弟よりも兄の方が当主に相応しいと鬼族の皆は怜音を持ち上げた。

 当然のように、弟は兄である怜音を憎み、家を憎んだ。

 自分自身が当主になりたかったからだろう。

 怜音は当主を譲ってやるつもりだったが、当時まだ五歳の弟には譲れなかった。


 レオンは上に立つ立場に飽きているのだが、周りが放ってはおかない。

 鬼山怜音の魂は高潔かつ公正。

 自然と大役を任されてしまう器なのだ。

 レオンが拒めば拒むほど大役が待っている。

 ある種の呪いである。

 解くことは叶わない。

 しかし、最近は上の立場であっても、楽しめる方法を模索し始める努力をした。

 無礼講デーをつくるなど。

 敬語を使ったら、罰ゲーム。


「そういえば、あたし達まだ一歳の赤ちゃんでした。成長した姿で生まれるから、勘違いしちゃいますね。ばぶーばぶー」

「無理矢理赤子キャラにならなくていい。アルメア。それに、我等は皆生まれたとき、人間年齢に換算すると六歳児なのだ。赤子ではない。幼子だ」

 魔王が目を閉じて突っ込んだ。

 いつもはボケ役なのに。

 何故六歳なのかは不明だが、神がそう決めたので、生まれたときは皆六歳児である。

 「はいっ! 魔王様!! アルメア、普通の悪魔になりますっ!!」

 敬礼して、にこやかに笑うアルメア。

 普通の悪魔とは、どんな悪魔だ。


「普通の悪魔とは?」

 神王が問うた。

「魔王様に心身を捧げ、血を献上し、血の湯船に浸かることです。処女の生き血は美容に良いとされてまして……! 魔王様には、いつまでも若く、美しくいていただきたいので!」

「なんだか、グロテスクですね」

 青い顔をした人間の交換留学生の少女が口元を覆った。

「魔王教では、血は神聖なものとして扱う。断じてグロテスクなどではない! その血を粉末状にしたスーパードラッグも、我々には良いものなのだぞ」

「勝手に血を抜いたりしないよね。人を襲ったりして……」

「もちろんですっ!! 任意ですから。血と臓物を好む、我々悪魔にもきちんとした戒律が存在します。人間を無闇に襲ってはならないとか。誘惑はいくらでもしちゃいますけどね」

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