悪魔と会話してみよう
魔王と合流して、今日は日帝の魔王学園の食堂で夕食を取ることにした。
魔族や悪魔が大勢いる。
魔王は気後れしないで話しかけてみるといいと言った。
なので、交換留学生達は魔族や悪魔に思い切って話しかけていた。
「あの、初めまして! 交換留学生の幸村花枝です。その、悪魔さんは羽とかあるんですか?」
「初めましてー! あたしはアルメア。羽、あるよ。普段は隠してるんだ。みんながみんな飛び回っているわけではないからね。地に足着けて、人を学べと魔王様がおっしゃったから」
アルメアは快活そうな、ショートの金髪とオレンジの瞳の、十六歳くらいの少女。
悪魔と言っても、そこまで悪ではない。
たまに道を外れて大虐殺を起こしたり、戦争を仕掛けたり、他人を誘惑したりするが。
道を外れた者は、地獄の炎でこんがり焼かれるので、滅多なことでは魔王の言いつけを破ったりしない。
だが、悪魔なので生来の悪の性質を出し切ってしまう者もいるのだ。
基本的に、魔王を崇拝する血族なので、すべての血族が過った道に進むことは、魔王が倒されてしまわない限り、あり得ないだろう。
魔族も悪魔も魔王には従順だ。
レオンも配下に欲しいくらいだと少し羨んでいる。
レオンの血族も従順ではあるものの、お祭り国家なのに血族達の遊び心が足りない気がする。
「魔王様はあたしらにとって、神様同然。本物の神よりも神様って、崇めたくなる。そんなカリスマをお持ちなんだよ、あの方は! 魔王学園、最高だよ!」
アルメアは満面の笑みで、魔王を褒め称えた。
本物の神よりも神だと思っているのならば、神罰が下りそうなものだが、【紅き閻魔】の審判より恐いものなしと言ってのけた。
邪王レオンが恐くないらしい。
魔王が【紅き閻魔】として、【悪の正義王】として裁いてきたところを、レオンは見たことがない。
だが、地獄と称されるからには、それなりに恐怖を抱く刑罰なのだろう。
考えるだけでおぞましい。
アルメアは、魔王の記憶を覗いて地獄の裁判を見たことがあるのだろうか。
きっと、怜音の拷問一家が可愛く思えるほど恐いのだろう、怒らせた魔王は。
レオンはグラタンを食している。
オニオンスープと水も用意して。
熱々のグラタンを口の中に運ぶ。
美味い。
甘味と塩味の効いたグラタンだ。
レオンがグラタンと遊んでいると、魔王が明日の予定を口にした。
「明日は【悪魔契約】をやる。邪王には、魔力は一番相性がいいはずだ。貴様もやれ」
隣に座る魔王は、カレーライスを食べていた。
口元をお手拭きで拭きながら告げた。
「えっ、僕もやるの? 暴れ出しちゃったらどうするの?」
「そのときはそのときだ。それに、悪魔になれば、オレの配下。邪王といえども、オレの命令には背けなくなる」
ニヤリと魔王は不敵な笑みを浮かべる。
嫌な予感がした。
「僕、神から直々に休暇をもらってるんだけど!! もしかして、こき使う気?」
「魔王が提案した【悪魔契約】、俺は相性が悪いからな。邪王はどちらとも相性がいいはずだろう。便利だな、邪力は」
「邪力は神力とも相性がいいんだっけ? 攻撃がよく通るから、僕の力の方が強力みたいだけど。けどさ、【神授契約】やってないよ、僕」
「やりたかったか?」
「いいや、べつに」
やっていたら、宇宙人を問答無用で惨殺していただろう。
自分の誕生の秘密を知ってしまったから。
ちょっぴり納得しかねる事態だったので、レオンはいいえを選んだ。
神が秩序なので、神がやることは必ず正しいことである。
しかし、あのときばかりは宇宙人に同情した。
正しいことであっても。




