宇宙人の墓
「邪王。お前のことは家族同然に思っている。何かあれば、遠慮なく話せ。俺も魔王も話ぐらいは聞いてやれる。問題の解決に至らなくとも、話せば肩の荷が下りることもあるだろう」
「うん。僕も同じように思っているよ」
背中をポンポンと叩かれ、レオンは少し落ち着いた。
時刻は十七時半を差していた。
レオンはテレパシーで時間を感じる。
時間を司る神が、ときを教えてくれるのだ。
宇宙人の墓を三つ作って、花を添えた。
来世は幸せな人生を歩めますようにと提案した宇宙人の少女が、口に出して祈っていた。
神は気まぐれな存在。
願いを叶えてくれるかどうかは、その者の努力次第だ。
「まさか、俺の身体を乗っ取って宇宙人を殺すとは思わなかった。トラウマにはなっていないだろうか」
「一瞬でしたからね。肉が簡単に焼け落ちて、骨になるのが。呆然としているだけでした。私は何もできなかった。悔しいです」
「この世界の神は、宇宙人に何かされたんでしょうか?」
「未来から来た、あの神と出会ったことがあるよ。そのとき宇宙人に気を付けろと言っていたから、宇宙人と何かしら因縁があるのかもしれない」
今回舞い降りてきたのも、未来から来た神だった。
レオンが創った神書には、創造神は二柱いるが二柱で一柱の存在と書いていた。
名前は創造神ヨウゲツ。
【創魔神】ヨウゲツとも言う。
太陽と月を統べる神。
信仰すれば忽ち願い事が叶うかもしれないとも書いた。
断言すると嘘っぽいのでやめたのだ。
レオンが願い事を叶えてやれるわけじゃないから。
「あの三人は殺されましたが、僕も宇宙人なのに生きてます。何か違いがあるんでしょうか」
「基準があるのかもしれないね。オーラで判断とか」
「神様って、恐ろしい存在なんですね」
「禁を破ると人間も人間を制裁するでしょう。神も人もあまり変わらない存在だと思うよ。スケールだけが違うのかも」
「そうですか……。一番恐ろしいのは、人間って言いますもんね」
交換留学生の人間の少女が言う。
「そうそう。けど、人間を創ったのは神だから。形を似せて創ったっていわれてるでしょ? だから似てるんだよ。人間も創作で神を創る。その神様は人間臭かったりするんだ」
「人間が神を創る――なんて、傲慢ですよね」
「ああ。だが、それが人なんだ。無力だと知るまで運命に抗い続け、死を克服しようとする」
「不老不死なんて、人類の求めていた境地かもしれない」
「不老不死が常になれば、化粧品会社とか倒産しますもんね」
それだけじゃない。
もしかしたら食糧が足りなくなるかもしれない。
レオンたった一人だけの不老不死だから、世界に影響が殆どないのだ。
唯一無二の存在で在り続けることが、この世界に神から課された使命。
悪を滅ぼすまで生き続けろ、という命令なのだろう。
育んでいった友情も愛情も、いつかは消えてなくなってしまう。
皆を看取る悲しき使命も背負っている。
考えないようにはしているが、神王と魔王もいつかは死ぬ。
そして次代に引き継がれるのだ。
彼らが死んだとき、レオンが邪王として果たすべきことは、なんなのか――。
逡巡するが、答えは出ない。
両国との国交を継続すること。
新たな王達と仲良くすること。
そのぐらいだ。
あとは、泣かずに笑顔で見送ること。
未練があったら、二人が成仏できないから。




