学校とは楽しく遊べる場所か?
魔王の授業は小一時間ほどで終わった。
放送室を出る前、魔王に学校とはどのようなものだ? と訊かれたが、レオンは怜音だった頃に学校に行っていなかったので、わからないと答えた。
授業を受けて勉強し、ときには虐めがあり、文化祭や体育祭などがあるものだと認識している。
虐めが多いというのを知っているのは、人伝に聞いた話だ。
怜音は学校に通いたいと思ったことはなかった。
つまらないところだと思っていたから。
きっと楽しいイベントがあるのだろうが、それ以上に苦しいことや辛いこともあると思うとレオンは続けて答えた。
怜音だった頃は、幼少のみぎりから家庭教師を呼んでいた。
必要だったのは帝王学や心理学などで、必要のないことを学ぶ機会はなかった。
なので、怜音に学歴はない。
そんなものなくとも一生安泰だったので、問題なかった。
同い年の友達や仲間もいなかった。
鬼族の仲間達が家族同然で、友達みたいな感化家だった。
だから今、多少なりとも同い年の友達と冒険するのが、この上なく楽しみで仕方がない。
毎日がハッピーで、わくわくするような居心地の良さだ。
もう昔には還れない。
鬼山家での日々は毎日が地獄のようだったから。
本当はもう二度と鬼山の屋敷に戻るつもりはなかったのだが、雪鬼達の期待に押し切られてしまった。
我ながら、なんて甘いんだと頭を抱えるレオン。
神王に変な目で見られた。
この世界で五十年に一度、様子見に鬼山家に帰ることにしている。
それ以上短い時間で帰ることはないだろう。
嫌な記憶ばかりが蘇ってくる。
「授業をしたら、次は何をすればいい?」
「ゲームでもやればどうだ」
「ゲーム? じゃあ僕も参加しよっかな」
「ゲーム部の部長になれ」
「いきなりだな!」
全校生徒達が一斉にしりとりをやり出した。
放送室を出て行って、職員室に向かったレオン達も参加する。
長文でしりとりをするという、ちょっと変わったゲームだ。
レオンは神王と魔王の三人と職員室でゲーム。
交換留学生達は半々に分かれてやった。
「邪王レオンは今日から鬼部長」
「有頂天になるんじゃないぞ、邪王」
「鬱陶しいんだけど、その呼び名」
「なんでもいいだろう、役職に就ければ」
「場合によると思うが、概ね正しい」
「遺憾に思っているんだけど、平で良かったよ」
「良くない。邪王に相応しいだろう、鬼部長は」
「わかりやすくて、いいじゃないか」
「癇に障るんだよ、何故か」
「かいつまんで話すか。よし、耳を貸せ」
「背中がかゆい……邪王レオン」
「んん!?」
「終わりだな。邪王の負けだ」
「待って。今の、どう考えても神王の負けだよね? なんで僕が負けたことになってるの。おかしくない? 初めから仕組んでたな? なぁ、おいってば!」
レオンは早口でまくし立てる。
魔王は舌を出して頬杖をついた。
神王はくつくつと口の中で音を立てている。
笑いを堪えている模様。
ゲームで負けるのは、気に食わない。
勝ちたい。
やはり一番がいい。
負けず嫌いなレオンだった。




