深夜の三王会議
「宇宙人らが我々の国を壊す可能性があると?」
魔王は冷酒を飲みながら、話を続ける。
「だとすれば、捨て置くわけにいかんな。奴等がどのような術を使い、オレ達を謀ってくるのか。探りを入れる必要がある」
「うん。目的はハッキリしていると思う。交換留学に来たのは、僕らの戦力をその目で確かめるため……じゃないかな」
遠い未来で戦争が起きると未来を見て来た神が告げたのだ。
疑う余地はないだろう。
「来て早々だが、送り返すのはどうだ」
神王が生ビールを飲みつつ、人差し指を立てる。
「送り返すと、もっと強い宇宙人を送ってくるかもしれないよ。怪しんでいるのがバレるのもダメだと思う。通常通り留学してもらって、それぞれの反応を見よう。様子見だ」
この世界は三王が秩序を保っている。
その秩序を破壊するつもりがあるのならば、実力で排除せねばなるまい。
戦闘好きの魔王ですら、戦争は回避したいと切に願っているようだ。
人員や物資の無駄遣いになるからと答えた。
戦争になれば、誰かが必ず死ぬ。
誰も死なない戦争なんて、都合のいいこどもじみた遊びができるわけがない。
やるなら本気で侵略しに来るだろう。
持てる力を振り絞って。
こちらも相応の対処をすべきだ。
戦争では、一人だけが強くても勝てないのだ。
総力戦が戦争であり、多くの命を失った方が負け。
たとえ大将一人が善戦したとしても、守れなければ勝ちとは言えない。
守るための強さだ。
だが、本当の恐ろしさは兵が全く機能しなくなったときに知ることになるだろう。
死ぬことよりも足手纏いが多い方が戦局に影響が出ることもある。
手足がなくなった兵隊は前線に復帰できない。
レオンはそのときになれば、自分が最前線で戦うことも覚悟している。
初めは指揮を執る。
レオンは不老不死なので、最初から最後まで一人で戦うこともできる。
が、血族達がそれを許すはずがない。
『一人で戦うならば、何故我々を生み出したのですか』と責められるに違いない。
みんな強いので、きっと戦いで死ぬことはないだろう。
なんせ、最強無敵の邪王レオンが生み出した者達だ。
いつかは別れが来てしまうだろうが、それは戦時中ではないことを祈る。
みんな健やかに生きて欲しい。
「我々は、戦は未経験だな。ちょっとしたお遊びの範囲内で戯れたことはあったが。邪王は戦の経験はあるか?」
神王がグラスの淵をなぞって、清涼な音を出した。
「僕の戦の経験は、そんなにたいしたものじゃないよ。敵対する妖の組織とか、内部抗争とか。戦争ほどの大規模のものじゃなかったかな」
「そうか。予備知識は入れておくに越したことはない。が、邪王も未経験ならば、この先戦争が起きたとき、負けるかもしれないな」
「大丈夫。勝ち方は知ってるから」
「何故だ」
魔王が真顔で突っ込んだ。




