日帝建国に祝杯
サボっていたことがバレると、魔王にこっぴどく叱られた。
末っ子気質の魔王だが、怒るときは頑固親父のようになる。
レオンの頭にたんこぶができた。
レオンは後頭部をさすりながら、手伝いを再開する。
レオンは寮づくりに入っていく。
「魔王、僕の結界を破るなんて、やるね」
「強化ぐらいは、地獄の王ならば簡単だ」
フンと鼻を鳴らし、得意げな顔で腕組みをする。
地獄の王のままで良かったのにとレオンは内心反発していた。
小さな国の王をするよりも、魔王らしいと思えたから。
その小さな国で大暴れするのだろうか。
魔王だから、日帝を軍事国家にするに違いない。
それで、『おい邪王、戦おうぜ』と熱烈なラブコールを送ってくるのだろう。
レオンの国はお祭り国家なのにもかかわらず。
魔王はそういう男だ。
巨大な学校をつくり終えたので、時間を確認してみる。
二十三時三十分だった。
これなら、ぎりぎり調印式に間に合う。
「できたよ、魔王」
「よくやった貴様達」
「偉そうに言うな、魔王」
神王が魔王の脇腹を小突いた。
魔王はくすぐったそうにしていた。
みんなの助けがあり、なんとか国づくりに成功した。
調印式もぱぱっと終わらせて、【創魔界】に三つの国ができた。
三国の不可侵条約も結ばれ、こうして日帝は誕生した。
だが戦闘狂の魔王を侮ってはいけない。
戦争じゃなくて、小さな諍いぐらいならば起こしてもいいだろう、戦おうぜと提案してくるはずだ。いつかは。
レオンは覚悟を決めている。
「地獄とここを統べるなんて、大変じゃないの?」
「あちらでは大抵、暇していたぞ。娯楽もなければ、遊びもない。つまらぬ仕事を押し付けられたものだ。一度代わってみるか?」
「遠慮しとくよ」
「神王はどうだ」
「俺は今の国が気に入っている。アルカディアで骨を埋めることにする。他のどこでもない、俺の国だ」
「ともあれ、新国家が誕生したのだから、お祝いしないとね! 僕の国で酒盛りやらない?」
「朝まで飲むか?」
「いいな、そうしよう」
交換留学生達は未成年なので、日帝の寮で眠らせることにし、大人のレオン達は朝まで飲み明かすことにした。
普通の人間ではないので、二日酔いを心配する必要もない。
朝まで飲もうが小言一つ言われないのは、三王の特権である。
「かんぱーい」
「乾杯」
レオンの紅蓮城で、三王は酒をたらふく飲み干した。
前世では成人前に死んだので、酒に溺れることもなかった。
酒臭くなれるのは、一時の幸せなのだろう。
いつも気を張ってばかりの男だから、酒に溺れたくなるときもある。




