魔王ベアルトの我儘
魔王が駄々を捏ねる。
玩具を買ってもらえないこどものように。
「今日完成させたいのだ! 調印式も今日やりたい!」
両手をブンブンと振って、魔王は激しく主張する。
「何がなんでも今日がいい!」
と言うのだ。
レオンのアメリア建国が一日で終わったから、張り合っているのだ。
「付き合ってられないよ」
レオンは頭をがしがしとかいて、呆れ顔で言い放った。
「そのようなことを言うな! オレはやっと貴様達と同じ、国王になれるのだぞ? 最後まで付き合え!」
神王の肩とレオンの肩を掴んで、必死に訴えかける魔王。
これでは徹夜だとレオンはため息を吐いた。
「可哀想なので、手伝ってあげましょう」
「ワタシ達も建国の瞬間をこの目で見たい」
人間や宇宙人に同情されて、日帝建国は続行した。
神王とレオンは互いに顔を突き合わせて、はあと息を吐く。
魔王が三王の中で一番我儘なのだ。
二人にとっては、弟みたいなもの。
自由奔放な魔王に、二人はいつも振り回されてばかり。
「しょーがない。乗りかかった船だー。最後までやるかー」
「ああそうだな。末の弟分のようなものだ。譲ってやろう」
「魔王、今回だけだからね」
「ああ。すまないな、二人とも」
全く悪いと思っていなさそうな顔をしている。
流石、傲岸不遜な魔王だ。
レオンは三階建ての木造の校舎をトンテンカンと建てていく。
全寮制の学校をつくるつもりだ。
魔王が最初にでかい学校をつくりたいと言っていたので、基礎からしっかりと枠組みする。
魔王は血を溜めていたバケツから血を放出し、魔族と悪魔を生み出した。
悪魔には翼が生えているが、収納したりもできるので、傍目には人間とそこまで変わらないように見える。
耳は尖っているが。
「魔王様、ありがとうございます」
「魔王様! 感謝!」
生み出されると、レオンの血族同様に、感謝の言葉を述べていく。
ここは魔族や悪魔にとっても住み良い場所なのだろう。
魔王ベアルトは生み出した魔族達に名前を付けていった。
それからすぐにこき使いだした。
すべては本日中に調印式を終えるために。
人手が増えたので、効率良く工事が進んでいく。
レオンはこっそりとサボって、血族とテレパシーで会話した。
『僕の一日建国も大分無茶なことだったと思う?』
『ええ、そうですね。初めての試みでしたから』
応答してくれたのは、鬼女だ。
お茶を淹れている音も聞こえる。
『邪王様は無茶なお方』
『ですが、我々はどこまでもついてゆきます』
『たとえ貴方様がどんなお姿になろうとも』
『我々の唯一の主でございます』
貴族に任命した鬼頭、鬼功、鬼好、鬼妖が応答した。
雄と雌それぞれ半分にした。
前者二人が雄で後者二人が雌だ。
レオンの手が回らないときや留守のとき、しっかりと働いてくれる優秀な配下だ。




