三次元の世界と五次元の世界
「交換留学生をお連れしました。男女半々です。皆、楽しみにしております」
ずらっと総理の前に並ぶ今回の交換留学生達。
皆黒髪で、どこからどう見ても日本人の風貌だ。
宇宙人が混ざっていないといいのだが、余計な考えは深刻な事態を招くかもしれない。
「じゃあ先に、アメリカに行ってから【創魔界】に帰ろう」
「そうだな」
「うむ」
「アメリカ観光もできるんですか?」
日本人の交換留学生の少女が、声を弾ませて訊ねた。
レオンは首を左右に振った。
アメリカへは交換留学生を帰して、交換留学していた同胞達を迎えに行くだけだ。
最初の交換留学生達との別れ。
寂しいや悲しいといった声が聞こえてくるが、それだけ【創魔界】での出来事が胸に刻まれていたのだろう。
レオンは上出来だと自分達を褒めた。
アメリカに間もなく到着して、大統領邸で会うなり、握手した。
「お久しぶり、大統領」
「ああ、久方ぶりだな、邪王レオン」
「様を付けろよ、小太り爺さん」
「いいから。悪口言わないの」
魔王が文句を言うと、レオンが困った顔で窘めた。
魔王は同列の王であるレオンが敬われていないと気に食わないらしい。
曰く、自分もバカにされた気がするからだそうだ。
魔王なんて知ったら、大体の者は驚く。
しかも地獄界の王様で、戦闘狂の怒らせなくとも恐ろしい【悪の正義王】だ。
地獄を統べるから、【紅き閻魔】の二つ名が付いている。
『紅き』は瞳の色だろう。
レオンは刻紋の入れ方を教えて、大統領はクロノベッドを受け入れる準備をすると告げた。
この国を五次元の世界とリンクさせるのだ。
そうすれば、五次元の世界で起こりうるすべての事象を可能にできる。
交換留学生を交換して、用事は済んだ。
名残惜しそうにしていたが、これ以上長居するとややこしくなる。
レオンは人に甘いところがあるから。
みんな勢揃いで次元移動できる船に乗った。
空飛ぶ船、景色は絶景だ。
「わーすごーい」
交換留学生の少女がはしゃいでいる。
飛行船と変わらないのだが。
「いい景色ですね。これからどこへ行くのですか?」
「五次元の世界、【創魔界】だよ」
「だから次元移動しなくてはならないのだ」
「へぇー。地球は三次元なので、それよりもっと何かが見える世界ですか。わくわくしますね」
べたっと窓に張り付いて返事をする交換留学生の少女。
「アメリカ楽しかったですよ、神王様」
「それは良かった。話を聞かせてくれ」
「はい! 本などももらってきました!」
じゃんっと難しそうな本をもらっている、神族の交換留学生達。
「水の作り方なども化学式で教えてもらってですね……。我々が行っていることは、化学や科学でもできたりするんですよ!」
「へぇ、面白そうな話だな」
神王は神族に笑いかける。
神族の王であり、父である神王は、彼らの成長目覚ましい活躍に、心から喜んでいる様子だった。
レオンも今度の交換留学では、鬼族も連れて行こうと思った。
そしたらレオンのつくった小さな学校で、教師ができるだろうと。
子に教えてもらうのも悪くない。




