邪王レオンの昔からの優しさ
「人も食べない、肉も食さない、優しいんですね、邪王様は」
「優しい、か……。よくいわれるんだけど、自分ではそう思ってないんだよね。やりたいことや感じたことをそのままやっているだけ。ある意味では、自己中心的なんだよ。僕が助けたいと思ったら、助ける。それだけ。究極の利己主義に近いんじゃないかな」
レオンがベジタリアンなのは、動物を食べたくないだけだ。
血をあまり吸わないのも、眷属を増やしすぎないため。
眷属はレオンと繋がっているので、どんな状態か、よくわかる。
もっと詳しく調べるには、吸血が必要なのだが。
眷属が増えすぎると、状態によっては夜に魘されることがある。
だから無闇に増やしすぎない。
ちなみに、眷属と血族は別物である。
眷属は血の交換をした者、血族は血の繋がりのある者。
血族の状態はわからないことも多い。
なので、遠慮なく増やしまくっている。
「究極の利己主義が究極の利他主義に繋がっているんですよ、きっと」
「そうじゃないと、人に『優しい』とは言われませんよ」
「そうかな。僕がやりたいと思ったこと、みんなのためになっていればいいなとは思うけど」
キャベツを食し、目玉焼きと白米を食べるレオン。
最後に味噌汁を飲んで、レオンはご馳走様と手を合わせた。
「なっていますよ、充分!! それに、わたし達はご飯までご馳走になっているんですし。とっても楽しい修学旅行をタダで行けてるんですから、最高です!」
歳は親を超してしまっているけれども。
楽しいならば、それが一番。
レオンはもっとみんなが楽しめる、お祭り国家をつくろうと決意した。
もう一度総理官邸へと向かった一行。
防犯カメラに映るなり、すぐさま中へ通してくれた。
「お待ちしておりました。皆様、どうぞ中へ」
レオン達も一礼して、中へ入った。
シャッターが開く。
「怜音様、どうぞいらっしゃいました。交換留学生も連れて来ました。存分に語り合ってください」
「うん。総理と契約書を交換したい」
「はい、かしこまりました」
ピッと文書を渡して、レオンはにこりと笑った。
書いてある内容はこうだ。
『これから、こちらの時間で百年間、【創魔界】に滞在してもらう。こちらの技術で若返りのベッドがあるので、見た目に変化は伴わない。但し、歳は取っているので注意されたし。アメリア王国国王邪王レオン』
総理は目を通して、胸ポケットから万年筆を取り出してサインした。
レオンは転写されている控えを総理に渡して、原本を返してもらった。
「そちらの時間の百年とは、およそどのくらいですか?」
「こっちで一年もかからないぐらいかな」
「左様でございますか。では、交換留学生達の親族も安心です」
「事故などが起きないように、気をつけるからね」
レオンが敬礼すると、総理も敬礼した。
「オレ達がいるのだ。問題ない」
魔王がレオンの肩を持って、自信げに言い放つ。
「俺もいる。邪王の支えになるぞ、俺達は」
「そちらの方々は?」
「僕の親友であり、仲間かな」
見た目がカラフルな三王だった。




