邪王と魔王のステゴロ
「僕は神に会ったけど、結構めちゃくちゃだったよ。力がないのを僕のせいにしてたし。人間と一緒で、神も身勝手な存在なんじゃないかな。もっと自分のために生きていいと思う」
「そうだな……。邪王の言う通りかもしれない。だが、男に二言はないんだ。一度決めたことは、最期まで意思を貫くのが真の男だ」
「流石は神王。オレは神王は男前だと思っているぞ」
「それは嬉しいことだな」
「ふ~~ん。まあ、神王がそんなに童貞のままがいいなら、止めはしないけどさ。神や国と結婚しちゃうのかあ。そうかあ、僕は前世でできなかったことはやりたいからなあ」
レオンには信じられないことだ。
遊び人になるつもりは毛頭ないが、女性が好きなレオンは神王の価値観を受け入れがたい。
手を繋いだりハグをしたりキスをしたりしてみたいなと思うのは、欲深いのだろうか。
「僕は前世でデートしたことがない。ラブレターとか告白とかはされたことがあるんだけど、そういうものと縁がなくて、仕事一筋の男みたいな人生だった。デートしてみたい」
「やれやれ、これだからモテる男は」
魔王が額を押さえて、呆れ返っている。
「なにおう! 魔王もモテるでしょうが。戦闘狂なところがカッコイイって、僕の国では有名なんだから」
「真か!?」
「真だ」
魔王に肩をがっしりと掴まれて、レオンは鸚鵡返しに答えた。
あまりの勢いに、ちょっとばかりビックリした。
「オレは混血をつくろうと思っているので、ちょうどいい。できれば、神族とやりたいがな。まあ、お互いに苦しむ神族と子作りをするより、邪王の血族と子作りする方が無難か」
「神族と魔族を交わらせるつもりはないぞ。魔族は野蛮だからな。野蛮人を増やすな。何が目的だ?」
神王はしっしっと犬を追い払うような仕草をした。
「混沌を。やはりバトルイベントもないと飽きるぞ。平和すぎるのも退屈だ。オレは強い奴と戦いたい。できれば邪王、貴様ともな」
指名されて、レオンは頬をひくつかせた。
「僕が一番強いこと、忘れたの?」
「忘れてなどいない。不老不死の貴様に勝つ方法なんてあるものか。ただ、ステゴロだけで戦えば、オレにも勝ち目はあるかもしれんと思ってな」
「上等だ。表出ろよ。ボコボコにしてあげるよ」
レオンは拳をもう片方の手でパシッと受け止めて、上から目線で応えた。
魔王に舐められるのは、気に食わない。
レオンは血気盛んである。
というわけで、表に出て二人は殴り合いの喧嘩を始めた。
「仕方ないな。俺が審判をやろう」
「判定は厳しくよろしく」
「同じく。オレは手抜きはごめんだ」
レディゴーの合図がなされたと同時に、レオンは足払いを仕掛ける。
難なく避ける魔王。
次は魔王から必殺のパンチが繰り出される。
すべてを受け流すレオン。
二人の攻防は数十分程度続いた。
両者無傷のまま、交換留学生達が観光から帰って来た。




