邪王レオンは神の玩具か?
「そちらの簀巻きになっている方は……」
「僕の昔の身体。偽者ではないけど、この方がわかりやすいかと思って。私的に、こんなことをするとは思わなかったけど。未来って、わからないものだねえ」
うんうんと一人でに頷いているレオン。
ネクロマンシーのことは話さなかったが、裏社会の一部を担っている総理ならば、わかるはずだ。
悪の宇宙人が裏で糸を引いていることも。
「はあ。面妖なことが起きるものですな」
「いや全く。その通りだよ。で、話を通してくれるかな?」
「交換留学生ですか。我が国としても、是非お願いしたく存じます。ですが、怜音様は日本人なのでは?」
「なら良かった! あはは、今は日本人じゃなくて、【創魔界】の妖ってことになってるんだけどー」
レオンはパンッと手を叩いて、喜色満面になる。
そして【創魔界】について、総理に詳しく説明する。
総理は静かに話を聞いた。
「今すぐにとは言わないよ。十人ぐらいでいい。こちらに来たいと思っている人達を連れて行く。そしてこちらの時間で百年後に貴国へ帰すつもり。どう?」
「それだと老けてしまうのでは……? そもそもそんなに長い時を生きていられるのでしょうか?」
「それは大丈夫。こちらの最高峰の技術で若返るベッドをつくったから。総理もやる? あ、日本に刻紋はまだないんだっけ。刻紋入れてからなら、一台三十億で安くしとくよ?」
「三十億……そんな高価なものをこども達に体験させるのですか。太っ腹ですね」
「第一回目の交換留学で実証済みだからね。若返れば、総理の支持率も上がるかも」
「ご冗談を」
はっはっはと総理は破顔一笑した。
「こっちの世界の百年は長いけど、あっちだと百年があっという間なんだ。なんであんなに早く流れるのかはわからない。神のみぞ知るってことだね」
「怜音様でも知らないことがあるのですね」
「そりゃもう。たっくさんだよ」
両手をいっぱいに広げて、レオンは大仰にリアクションした。
「交換留学生ということは、そちらからも何人かおいでになるのですね」
「うん。こっちからも十人。僕の知らないことを彼らの頭に叩き込んでやってくれるとありがたい。あと今は邪王レオンって呼ばれてる。邪な王で、レオンはカタカナ」
「邪王レオン様ですか……」
「そう。……なんか、変な顔してるね」
「いえ、装いが変わっただけでなく、呼び名まで変わるとは……。しかも前世とほぼ同じなど。なるほど、神の悪戯ですか」
顎に手を当てて、考え込むような仕草を見せる総理。
確かに、前世とほぼ同じ状態で転生するケースは今までに聞いたことがない。
稀にあるケースだとしても、怜音の魂は神に囚われているような気がする。
まるで、最後まで責任を果たせと言われているような感覚だ。
総理の懸念は正しい。
「神の悪戯なんて、僕は神の玩具かよ」
ハッと笑い飛ばすレオン。
無理もない。




