前世の怜音とバトル
雪鬼に渡された発信機を使って、鬼山怜音の遺体を捜す。
「見つけたぞ、邪王」
上空から見張っていた魔王が指差した先は、人けのない公園だった。
「今行く」
お互いに発信機を付けて、場所を確認している。
レオンと神王は魔王のところに一っ飛び。
公園にはジャングルジムとブランコがあった。
ブランコに乗っている鬼山怜音。
まるで普通の人間みたいに、違和感なく動く。
目は死んでいるが。
銘入りの刀を差している。
「ちょっと」
「何!?」
レオンが声をかけると、反射的に返答する怜音の遺体。
目に光が灯っていないが、生前と変わらないではないか。
そのネクロマンシーの精度の高さに、レオンは戦々恐々とする。
今までよく犯罪をしなかったものだと。
刀を抜く怜音の遺体。
レオンを敵と見なしたらしい。
ビュンビュンと風を切って攻撃してくる。
太刀筋が見えないぐらい神速の剣術に、レオンは少し驚く。
「話をっ、しに、来たん、だけど!」
縦横無尽に刀を振るわれ、レオンは避けまくる。
「僕が鬼山怜音だ。鬼山怜音は二人も要らない」
刀を納め、居合抜きの構えを取る怜音の遺体。
死んでいるのに、恐ろしく強い剣士として襲いかかって来る。
まるで力あるゾンビだ。
「これを止める方法――ないの!?」
「恐らく、戦闘不能にするしかないだろう」
「鬼山怜音時代も強かったんだな。隙がない。この強さで敵に殺されるなんて嘘みたいな話だな」
神王と魔王は離れたところからレオンの援護にまわっている。
魔王が地獄の炎を浴びせ、神王が幻想を見せるが、鬼山怜音の遺体には全く効かない。
何もかも跳ね返してくる。
「困ったな……。前世の僕って、こんなに強かったっけ?」
ドンッと地面を踏み、重力を操るレオン。
怜音の遺体が一瞬動きを止めた。
そしてすかさず縄で縛り上げる。
ぐるぐる巻きにされた怜音の遺体。
ネクロマンサーに勝った。
「一丁上がりだな」
「自分の元の身体をこんな風に縛る羽目になるとは……」
「人生色々な出来事があるものだな。あ、今は妖怪生か」
神王と魔王に肩をポンと叩かれる。
それから、レオン達は総理官邸にもう一度訪問した。
「偽者ではないが、今の僕が魂入りの本物なので」
「はあ……。確かに、鬼山怜音様なのですね。かしこまりました」
執事に説明すると、総理を呼んで来た。
「私に何かご用ですか?」
「早速だけど、僕は貴国と交換留学がしたい。こちらの技術や文化を知って欲しいし、僕達もそちらのことを知りたい。前世は十九年しかいなかったわけだし、知らないことも山ほどある」
「転生されたのですか、怜音様」
「うん。昔より強くなったよ」




