第一回目の交換留学から百年が経過
「どんどん国をつくる、か……。また交換留学しないとね。いろんなことを教え合おう。その先に、どんな未来が待っているか……」
含みを持たせてレオンは言う。
人類との未来は戦争だと神に告げられた。
しかし、未来は変えられると思っている。
そのために、あの小さき神はレオンに警告したのだから。
未だ来ぬのが未来ならば、きっと信じれば願いは叶う。
この先、どんな困難が待ち受けようとも、乗り越えられるはずだ。
レオンは窓の外をじっと眺めた。
「次はオレの番だな。最高に愉快な国をつくろう。神王、邪王、調印式を任せるぞ。次の交換留学先は日本にしろ。オレは日本を模した国をつくりたい。邪王、お前の昔話が興味深いからだ」
「え、日本……?」
「いいな。お前にしては選択がいい。日本はそこそこ治安がいいらしいからな。平和な国にしてくれ。地獄界のように、罪人の椅子やらベッドやらをつくるなよ。あれは正直、趣味が悪い」
「はは。罪人の椅子などはブラックジョークのつもりだが、神王は真面目だな。あのぐらいの娯楽がないとあの世界はつまらんのだ」
「娯楽?」
待ってくれ、とレオンは思った。
日本には鬼族が、忘れてきた過去の者達がいる。
鉢合わせなどしてしまったら、どうすればいい。
この姿とはいえ、元の姿の面影は残っている。
一目見られればバレるに違いない。
「日本とは、どんなところでしょう。楽しみで胸がドキドキです」
邪竜イコロスが瞳を輝かせて感想を述べた。
「残念だけど、連れて行けないからね」
イコロスはしょんぼりした。
お留守番である。
最初の交換留学から百年が経過した。
交換留学生達を元の姿に戻しておいた。
【創魔界】では、いろんな祭りを催した。
その祭りに交換留学生達は参加し、心の底から楽しんでいた様子だった。
そしてアメリカに帰国することになって、名残惜しそうにしている。
地球じゃ見られない生物を間近で見られ、勉強に追われない生活が惜しいのだろう。
労働も苦しくない。
遊びが仕事のような自由の国、アメリア。
「じゃあ、次元移動できる船に乗せて行くよ」
「はい」
「【創魔界】楽しかったです。また来たい……」
「それは良かった。百年間楽しみにしてくれていたんだな。また来るといい。その頃には、我らの技術も君達の長に教えているだろう」
神王が交換留学生達に笑いかけた。
「次元移動できるようになるんですか!?」
「それと、あの人はどうなるんです?」
「あの人……ああ、朝露浪漫ね。僕の眷属になったから、お別れだよ」
本当は眷属にするつもりなどなかったのに。
性格や挙動に難ありだが、それ以外は優秀だったので、副官に命じた。王の補佐役である。
最近は、悪さをする回数が減り、優秀な部分が目立つようになった。
変態マゾヒストなのが玉に瑕だが。
「そうですか。ぼくも邪王様の眷属にしてもらいたかったなあ」
頭を押さえながら悔しそうに笑う交換留学生の男子。
レオンは嬉しさが込みあげてきて、ふっと笑みを浮かべた。




