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血気盛んな鬼部長  作者: 社容尊悟
第0章 鬼部長誕生

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眷属の朝露浪漫を使いこなせ

「君には役職はなかったね」

 あられもない姿になったが、気を取り直して咳払いを一つした。

 神王と魔王の頭には、たんこぶが三つできあがっている。

「わたしに役職をくださるのですか? では、お世話される係がいいです。なんなら、おしおきされる係でも……」

「そんなものはない!」

 ドンッと机を握り拳で叩いた。

「君にも何か任せようかと思って。不公平だろ? 平なんて」

 両頬を支えて、レオンはにっこりと笑う。

 脅しの表情だ。


「はぁ……では、どんな役を……」

「今本を作ってるんだけど、全員に配ること。配本係」

「結構こき使いますね」

「そりゃ勿論。使えるものはなんだろうが使えって言うでしょ。君も使わなきゃ眷属になった意味がない」

 にこにことレオンはご機嫌に笑う。

「わたしのこともちゃんと見てくれているのですね。あ、でもわたし的には、塩対応でも嬉しいです……!」

 手を組んで神に祈りを捧げる清廉な少女のように、瞳を輝かせる朝露浪漫。

 だが紛うことなき変態である。

 付いていけないレベルの。


「一応、国の王様になったわけだからね。配下の面倒はきちんと見なくちゃいけない。たとえ、本意ではなくとも。君が悪さするのは、おしおきして欲しいからだよね? じゃあ、おしおきしなくなるとどうなるの?」

「死にます」

 正しく死んだ目で即答した。

「うぇっ!?」

 予想外の返答で、レオンは素っ頓狂な声を上げた。

 眷属が死ぬと主にも異変が起きる。

 それを知っていて、そんな答えを出すのか。

 彼女はとんでもないマゾヒストであるが、突き抜けたサディストにも見えるリバーシブルタイプ。


「面倒な眷属を持ったな、邪王。俺だったら、吐きそうだ」

「オレも手に負えん輩だな。邪王で良かった。オレ関係なし」

「さらっと押し付ける気満々なの、ムカつくんだけど」

 レオンは苦い顔で書類をぐしゃっと握り潰した。

「主様はその方をずっと見張っておかなくてはいけないのですね。確かに、面倒そうです」

 イコロスが朝露浪漫を見て言った。

 初対面なのに酷い言い様だ。

 しかし血族とは記憶を共有しているので、初対面といえども、家族のようなもの。

 だからイコロスも遠慮がない。

 血族も眷属も似たようなものだ。


「ずっと見張ってくださるんですかっ!?」

 朝露浪漫は水を得た魚のように、歓喜の叫び声を上げる。

 まるで発情期の犬みたいに。

 宇宙人の扱いがこうも難しいとは、レオンは思わなかった。

 なので、絶賛困り中である。

「主様は執務が忙しいので、ずっとは無理だと思います。それに、貴方に割く時間が多ければ多いほど主様はお疲れになるでしょう。全く、宇宙人とは相容れぬものです。主様、たまには我々の背に乗り、旅に出ましょう。気分が晴れます」

 アクロスがフォローした。

 レオンもにこりと応える。

「だけどこの世界はまだ旅を堪能できるほど国がないんだよね。誘ってくれるのは嬉しいんだけど」

 三王で旅に出たときも、美しい景色を見に行くぐらいで、国を渡る醍醐味がなかった。

 なんの面白味もない旅だったが、小さな思い出なら、この胸にずっとある。

「つくればいいじゃないか、どんどん国を。活気に満ち溢れた世界を。貴様とオレ達で」

 魔王がフッと邪悪な笑みを浮かべる。

 良いことを言っているはずなのに、笑った顔が邪悪になるのが魔王の面白いところである。

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