空から舞い降りてきた手紙
神王は白い浴衣で、魔王は黄色の浴衣にした。
二人の髪色と殆ど変わらないコーディネートだ。
どちらもよく似合っている。
レオンも髪色と同じ色の浴衣なので、三王は好みが似ているということだ。
それ以外の色しかなかったら、どうするつもりだったのだろう。
スーパーボールすくいで競い合い、レオンが大勝して神王と魔王が頭を抱えて悔しがっていた。
交換留学生達は、三王の仲の良さに大笑いして縁日を堪能していた。
「このままずっと、楽しい毎日が続けばいいのにと思います」
「僕もそう思う」
「初めはモンスターとの共生なんて……って思っていたんですけど、一緒にいるのが楽しいです。ぼくもうこっちで暮らしたいなあ、なんて」
後頭部を押さえて、くしゃくしゃに笑う交換留学生の男子。
「大統領と話をしないといけないな。突然いなくなったら誘拐したと勘違いされるだろう。それに……良いのか? あっちには、家族や友人といったかけがえのない存在があるはずだ。捨てる覚悟はあるのか?」
神王の真剣な問いに、軽はずみで口にした言葉を呑み込む少年。
「あ……」
「こらこら。虐めない。単純に、こっちの世界を良いと思ってくれているんだから。楽しかったなら、それで良いよ。僕も親兄弟を捨てたようなもんだし。彼だけを責めるのは、僕は納得しない」
「邪王……」
魔王が悲しげな顔をした。
祭りを楽しんでいると、空から手紙がレオンの手の平に降ってきた。
まるで天使の羽のように軽い。
だが、書かれている内容は少しだけ重かった。
『アルカディアの聖なる森へ一人で来い。大事な話がある』
と書かれていた。
差出人は不明。
レオンが手紙をじっと眺めていると、神王と魔王に横から盗み見された。
「なんだ、その偉そうな物言いは。仮にもオレ達はこの世の三王だぞ」
「悪戯じゃないのか、差出人不明の手紙なんて」
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」
レオンは頭に被っていたキャラクターもののお面を取った。
「誰だかわからないけど、偉そうに僕に命令ができるってことは、僕以上の存在なんだと思う」
「三王に命令……。神か」
魔王が顎に二本指を当てて、答えを導き出した。
「多分ね」
「当たりだったとして、何故一人で行かなくてはならないんだ。お前の責任は、俺達の責任でもある。そのための三王だろう。お前一人に責任を押し付ける気はないぞ」
神王が憤慨している。
このところ、レオンばかりが責任を負わなければならない責務ばかりだったから。
面倒事に巻き込まれやすいのは、邪王の性である。
魔王が【悪の正義王】と呼ばれるのに対して、邪王は優しすぎる王と呼ばれる。
初めから拷問一家の長になど向いていなかった。
けれど、やらなきゃいけなかった。
今は違う。
好きで、邪王レオンをやっている。
たとえ、決められたことであっても。
この役目を果たそうとレオンはとうの昔に決意している。




