開国祭は夏祭り?
生み出したこども達から、テレパシーが送られてきた。
開国祭の準備が終わったそうなので、レオン達は城の屋上に出た。
真っ青な空だ。
キャンバスのように何かを描けそうな、青く広い空。
ドンドンと遠くで音がした。
何かを叩く音。
それに合わせてひゅるるるると舞い上がる打ち上げ花火。
『ありがとう、邪王レオン様』と感謝の気持ちが火花を散らした。
拳銃の音も聞こえる。
すると、色とりどりの煙が上がった。
わたがしのように色の付いた煙は面白かった。
打ち上げ花火が第二弾、第三弾と続いていく。
最初のメッセージ花火以外は日本の夏祭りのような花火だった。
レオンの血族達がレオンの記憶から導き出したのかもしれない。
最適の祭りを。
「なんか、誕生日みたいだなあ」
のびーっと背伸びをするレオン。
「国の誕生日だ。この国をつくったのはお前だ、邪王。感謝されて良かったな。俺のときはここまで盛大に俺に感謝した奴はいなかったのに。全く」
神王が愚痴を零した。
口を尖らせている。
レオンが少し羨ましく感じているのだろう。
「神王は王としての威厳は充分だが、真面目なくせに自由人だからな。国民もまた自由人なのだろう。それに、感謝はしているだろう、心の中で」
「心の中で感謝していたら、テレパシーでわかるはずなのだが」
「じゃあ、されてないね」
あははとレオンは悪戯っぽく笑う。
神王は悔しさで歯噛みしていた。
三王として序列は同じはずなのに、血族達からの愛の差が違いすぎて。
神王もいつか報われるだろうとレオンは内心思っていた。
「毎日お祭りをやっても楽しいかもしれない」
城を出て、準備をしていたみんなのところへ行くことにした一同。
何故か屋台らしきものが出店されていた。
「いらっしゃいませー! りんご飴はいかがですかー!?」
口元に手を当てて、大声で呼びかける鬼族の店主。
どうやら開国祭はレオンに最も近い能力を持つ、鬼族が主体となって執り行っている様子。
「レオン様、どうぞ」
かしずいて人数分を渡した店主。
日本の祭りと違うところは、お代なしでもらえるところだ。
開国祭というより、邪王レオン感謝祭の気がしなくもない。
しかし気分がいいので、レオンは素直にありがとうと告げて、鬼族の店主の頭を撫でた。
見た目はおじさんだが、まだ0歳児の赤ん坊のようなものだ。
可愛らしくはにかんだ。
「他にも縁日の屋台とか焼きそばとかやってるんだ。前世では、生まれてからずっと日本で過ごしていたから、日本の出し物なのかな。まあ、家は嫌いだったけど、日本自体は嫌いじゃなかったからね。着物はデザインがお気に入りなんだ」
前世の頃から身に着けていた着物。
今世で着ることになるとは思わなかったが、日本の風情ある着物はレオンの誇りだ。
「そうおっしゃると思って、着物もご用意しました!」
ばーんとまた人数分出される着物。
夏祭りっぽい祭りなので、浴衣である。
「わあ、凄いです」
「この金魚のデザイン、かわいー!」
「黒の無地はカッコイイです」
レオンは赤い浴衣を着ることになった。
黒いマントを羽織るので。
いつもの装いとあまり代わり映えしない。




