アメリア建国
城内を歩き回っていると、玉座とレッドカーペットが現れた。
なんと、追尾式である。
変なところで凝り性な、匠の技が発揮されている。
レオンは仕方なくそこに座った。
すると、おおーっ! と声を上げて、交換留学生達に拍手される。
まるでお遊戯会の主役になった気分だ。
「王様って感じです。見事に」
「邪王様、カッコイイ……!」
脚を組んでみた。
マントをばさっと翻してみて、腕も組んだ。
演技するレオンを、交換留学生達は心待ちにしているようだ。
レオンは期待には応える男。
フッと不適な笑みを浮かべて、声音を変える。
「余は邪王レオン。此度この国の王として君臨することになる。よろしく頼むぞ」
王らしい喋り方を研究していたレオン。
いささか役に立ったのではないだろうか。
また拍手された。
鬼女からもらったペンで必要事項を記す。
『侵略することなし。
互いに不可侵条約を結ぶべし。
通貨は神聖アルカディア帝国にならうべし。
公用語を自由とするべし。
貿易が必要ならば盛んに行うべし。
万が一、戦が勃発した場合は戦を始めた者が責を負うべし。
互いに良き国主として生きることを誓う。
邪王レオン』
と書いた紙を神王に見せて、調印させた。
「これからお前も一国の主だな」
「うん、よろしく」
握手をして、にっこりと笑い合う二人。
「オレだけ仲間はずれだな。地獄に国をつくろうか」
「それ、君だけが愉しいんじゃないの?」
レオンは冷ややかな目で見た。
罪人達を更に拘束する法をつくりそうだ。
【紅き閻魔】の魔王ならば。
「無事に国ができあがったのですね。では早速、開国祭に取りかかりましょう」
手を合わせて鬼女が微笑する。
開国祭で何をするかはわからない。
神王のときは、天使がラッパを吹いて神族は舞っていた。
『神降ろしの儀』と呼んでいた。
その名の通り、神が降りて来ていた。
神性の高い神は降りて来なかったが。
アメリアではどんな祭りが催されるのだろうか。
レオンは関与していないので、サプライズである。
鬼女が城内から飛び出していった。
「開国祭が終わると、来年は建国祭だな。楽しみだ」
神王は招待されるのを期待している。
「建国記念日ね。一歳ずつ歳を取っていくんだ。なんだか、感慨深いものがあるね。国をつくるのなんて初めてだし。うまくできたかな」
「オレ達も一歳ずつ歳を取ってきた。邪王が考案したクロノベッドのおかげで、もっと長生きできそうだが、歳ばかりは誤魔化せん」
はは、と魔王は渇いた笑い声を漏らした。




