邪王レオンの紅蓮城
図書館や美術館もつくって、レオンは紅い城、紅蓮城に向かった。
邪竜イコロスも入れるほど大きくて広い城だ。
つくるのが大変だっただろうに。
鬼族達がせっせと働いてつくり上げた。
やはりレオンは前世の柵からは解放されないのだろう。
どこへ行っても鬼族の長だ。
その鬼族達をまとめ上げるのに、向いている。
「主様、我は何をすれば良いでしょうか」
「特にやることはないけど。何がしたい?」
「では、大海原を駆け巡りたいです」
目を爛々と輝かせ、邪竜イコロスは語る。
「うーん、調印式が終わってからね。好きなように遊んでいいよ。但し、地形を変化させたり、別の種族と喧嘩したりしないように」
指を一本立てて、忠告した。
イコロスは何度も頷いている。
神王と魔王と交換留学生達も城の中に入って、各々感想を言い合った。
「俺の城よりもでかいではないか。なんだか、力の象徴のようだな」
「ベッドもふかふかだな。羨ましいぞ。オレは罪人ベッドしか扱っていないのでな」
「罪人ベッド……。恐ろしく寝心地が悪そうです。邪王様のお城、キレイです! 赤が映えますね」
「王様って、いいなあ」
三階建てだが、物凄く広い城に感激している様子の交換留学生達。
敷地面積およそ一万坪ぐらいだ。
「あの、鬼さん達は呼ばないんですか?」
「調印式のときに呼ぶよ」
「書類をつくれ邪王。俺とお前でサインする」
「うん、わかった」
「オレも立ち会いに行きたい」
「すぐできるから。紙とペンを用意してもらう」
こめかみをとんと押すと、紙とペンを持って来た鬼の女性が現れる。
桃色の着物を来た桃色髪と桃色の瞳の鬼族だ。
「お呼びですか、邪王様」
「ありがとう、鬼女」
「恐悦至極に存じます」
瞳を潤ませて、手を組んで跪いた。
まるで世界最高の神に出会ったかのような表情で。
鬼族にとってレオンは神そのものであり、この上なく美形に映るのだ。
親フィルターのようなもの。
仕事をしている親は一番カッコイイ。
「なんか、気品のようなものを感じます。邪王様に。何故でしょう?」
「見た目はカワイイ系の鬼っ子なのに、カリスマ性も感じるというか」
「人を惑わすのが邪王だ。妖艶さが色濃く出ているのだろう」
「僕自身はそんなつもりがないことが多いんだけどね。生まれ持った性質って厄介。大昔もそうだった」
「前世のときか」
魔王が察した。
「そう」
「でも吸血鬼も貴族っぽいですし、育ちの良さが出てくるんですかね?」
レオンはいざとなれば血も吸うが、普段から人を襲うような真似はしない。
それが【血鬼】の美学だから。




