神の奇跡! クロノベッド
「いいぞ。温度は調節できる。おイタが過ぎる邪王のエセ眷属、宇宙人の肝はどれぐらい据わっているのか、気になるところだ」
魔王が魔王っぽい笑いを堪えている。
「宇宙人にも、良い宇宙人がいると聞いたことがあるんですが。彼女は悪い宇宙人ですね」
交換留学生の少女が、ヤルダバオートを評する。
「邪王は〈時空主〉と共に寿命を延ばす装置を開発してくれ。罰は俺と魔王に任せろ。少しお前も気分が悪くなるだろうが、すまない。我慢してくれ」
「わかった。僕の不手際だから、気にしないで」
三王は頷き合って、それぞれの役割を果たすことにした。
邪王レオンは神王城の巨大な地下室に〈時空主〉の神族を招き入れた。
緑髪に金の瞳の青年だ。衣服は神王と同じものを纏っている。
地下室のドアを開けると、大きなベッドが四つあった。
「寿命を延ばす? 邪王様は不老不死では」
「僕のことじゃなくて。神王や魔王、交換留学生達には必要でしょう? この国の民も喜ぶかもしれない。ついでに怪我や病気も一瞬で治るといいな」
「はあ。そういうことでしたら、時間を巻き戻す【操法】を使ってみましょう。集中力が必要なので、話しかけないでいただけるとありがたいです」
「うん、わかった」
大きなベッドに両手をかざして、〈時空主〉の神族は、目を閉じて呪文を唱える。
「時を司る神よ。我が呼び声に応えよ。我はメドと申す者なり。〈時空主〉の【操法】を操りし者」
唱え終わると、両手が光り出した。
大きなベッドにその光が注ぎ込まれる。
「完成しましたよ」
「え? ほんとに? 早いね」
超スピードで完成したようなので、レオンは驚嘆した。
大きなベッドを見てみると、別段変わったところは見当たらない。
レオンは手をかざしてみる。
不思議な力を感じる。
「凄いね。本当にできちゃうなんて。僕と君が戦ったら、君が勝ったりしないかな? 僕が生まれる前まで時間を戻せるなら」
「おれが〈時空主〉と言っても、三王様ほどの方を倒すのは無理です。そこまでできるなら、おれが三王の一人になっていましたよ」
汗をかいて少し疲れた表情をした、〈時空主〉の神族メドが告げた。
それもそうか、とレオンは得心した。
「さあ、量産しましょうか。あと百個くらいなら、本日中につくれます」
「ありがとう。よろしく」
こうして、メドのつくった若返りベッドが量産されていった。
名前は神の奇跡! クロノベッドにした。
少し胡散臭く感じるものの、効果は絶大。
実際にメドも試してみると言って、クロノベッドを使った。
見るからに若返った。
見た目が青年だったのに、幼児になった。
「そんなに効果があるとは……。時間を巻き戻して細胞が新しくなるのか。面白いね。最高の技術だ」
「何十年に一度くらいでいいですね」
舌っ足らずの幼児の声だ。
しかし頭脳はそのまま。
神童と呼ばれる日も近いのではなかろうか。
すべてが巻き戻るわけではないようだ。
非常に便利である。
有用性を開発者自らが示してくれた。
これはバカ売れ間違いなしだ。




