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血気盛んな鬼部長  作者: 社容尊悟
第0章 鬼部長誕生 中編

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ただ愛を選ぶということ

 レオンはこの時代に、おまかせモードでやって来た。

 だから、すべての偶然は必然たり得る。

 三人は突然の真実に、呆気に取られていた。

「つまり、タイムマシンか何かをつくって、この時代に来たってこと? 君の世界では、そんなこともできるんだ?」

「そうです。僕一人の力じゃないよ、ここに来られたのは」

「懐かしいと思ったのよネ……。貴方が私の子ナノネ」

 メリーがレオンの頬をそっと撫ぜる。

 レオンは目を細めた。

「儂が……この二人の仲を認めるということか……? こどもをこさえたとあれば……」

 一番驚愕していたのは、武蔵の父だ。

 信じられないというような表情で、頭を抱えていた。

 厳格でしきたりを重んじる堅物の男が折れたなど、レオンも信じられない。


「だけど、お爺さんが折れたとは限らない。僕は産まれたとき、母と祖母と祖父の顔を知らない。写真でしか見たことがなかった。だから……お二人は近いうちに……」

 レオンは最後まで言い切らなかった。

 ここまで言えば、鈍感人であろうとわかると思ったからだ。

 二人はレオンの顔を見られずに死ぬ。

 もしかしたら、祖父が先に死んで、反対する人がいなくなったから、こどもを産む覚悟をしたのではないだろうかと。

 レオンの推理は、祖父の顔をじっと見つめてから確信に変わった。


「儂の言葉を無視したんじゃな、武蔵。いい度胸じゃ。それとレオン……と言ったな。会えて良かった」

「僕もです。貴方がきちんと武蔵さんたちのことを考えてくれていて良かった。僕の前世は幸せになれなかったけど、今の僕は幸せ。だけど、必死に生きたころも、今の僕は否定したくない。幸せじゃなかったけど、昔の僕もあって、今の僕がある。ありがとう、みんな。伝えられて良かった」

 レオンは泣きそうな顔ではにかんだ。

 今までずっと前世を受け入れられなかった。

 もっと幸せに、平和に生きられたら良かったと思っていた。

 元来、争いごとをきらう性格の怜音が、苦しみながら魔日戦い続けたのは、責任感と正義感の二つの感情が渦巻いていたから。

 レオンがこの時代にやって来たのは、偶然などではない。

 きっと、このことを皆に伝えるためだったのだろう。


「レオン君……。君はなんて、優しい子なんだ……」

「ソウネ。とてもいい子。私たちのせいで、不幸にさせてしまったのに。恨んでも、良かったノニ」

「恨むなんて……。僕は確かに、境遇を呪ったこともあったけど、お二人のせいとは思っていませんよ。禁断の恋は、罪深いかもしれない。神が許してくれなくても、僕が許せれば、それでいい。今の僕が幸せだと感じているならば、昔の幸せになりたかった僕を救えているはず。だから、もういいんです。貴方達に会えたし、答えもわかったから僕は満足です」

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