ただ愛を選ぶということ
レオンはこの時代に、おまかせモードでやって来た。
だから、すべての偶然は必然たり得る。
三人は突然の真実に、呆気に取られていた。
「つまり、タイムマシンか何かをつくって、この時代に来たってこと? 君の世界では、そんなこともできるんだ?」
「そうです。僕一人の力じゃないよ、ここに来られたのは」
「懐かしいと思ったのよネ……。貴方が私の子ナノネ」
メリーがレオンの頬をそっと撫ぜる。
レオンは目を細めた。
「儂が……この二人の仲を認めるということか……? こどもをこさえたとあれば……」
一番驚愕していたのは、武蔵の父だ。
信じられないというような表情で、頭を抱えていた。
厳格でしきたりを重んじる堅物の男が折れたなど、レオンも信じられない。
「だけど、お爺さんが折れたとは限らない。僕は産まれたとき、母と祖母と祖父の顔を知らない。写真でしか見たことがなかった。だから……お二人は近いうちに……」
レオンは最後まで言い切らなかった。
ここまで言えば、鈍感人であろうとわかると思ったからだ。
二人はレオンの顔を見られずに死ぬ。
もしかしたら、祖父が先に死んで、反対する人がいなくなったから、こどもを産む覚悟をしたのではないだろうかと。
レオンの推理は、祖父の顔をじっと見つめてから確信に変わった。
「儂の言葉を無視したんじゃな、武蔵。いい度胸じゃ。それとレオン……と言ったな。会えて良かった」
「僕もです。貴方がきちんと武蔵さんたちのことを考えてくれていて良かった。僕の前世は幸せになれなかったけど、今の僕は幸せ。だけど、必死に生きたころも、今の僕は否定したくない。幸せじゃなかったけど、昔の僕もあって、今の僕がある。ありがとう、みんな。伝えられて良かった」
レオンは泣きそうな顔ではにかんだ。
今までずっと前世を受け入れられなかった。
もっと幸せに、平和に生きられたら良かったと思っていた。
元来、争いごとをきらう性格の怜音が、苦しみながら魔日戦い続けたのは、責任感と正義感の二つの感情が渦巻いていたから。
レオンがこの時代にやって来たのは、偶然などではない。
きっと、このことを皆に伝えるためだったのだろう。
「レオン君……。君はなんて、優しい子なんだ……」
「ソウネ。とてもいい子。私たちのせいで、不幸にさせてしまったのに。恨んでも、良かったノニ」
「恨むなんて……。僕は確かに、境遇を呪ったこともあったけど、お二人のせいとは思っていませんよ。禁断の恋は、罪深いかもしれない。神が許してくれなくても、僕が許せれば、それでいい。今の僕が幸せだと感じているならば、昔の幸せになりたかった僕を救えているはず。だから、もういいんです。貴方達に会えたし、答えもわかったから僕は満足です」




