正体を明かす
「不老不死の妖を見るのは、初めてじゃ。のう、武蔵。妖と仲良くしても良いが、人間はご法度じゃぞ。妖と人間の恋愛・結婚は禁止されておる。破ったら、どうなるか知らんぞ」
「お父さんも知らないんですか」
「やったことがないからじゃ。貴様は禁忌を犯そうとしておる。儂でも庇いきれんぞ。妖と人間、両方から狙われる。そして産まれてきたこどもは、背負わなくてもいい業を背負わねばならん。貴様の一時の過ちのせいで。責任を負えるか? 武蔵よ」
「できる限りのことはします。覚悟の上です、お父さん」
武蔵は火のついた目で真剣に向き合った。
そうだ、怜音が不幸だったのは、すべて父親である武蔵のせいだ。
妖と人間のハーフでどちらの仲間にもなれず、迫害されてきた。
怜音を受け入れてくれたのは、孤児であった鬼族のみ。
人間達はのちに裏切るので、仲間ではなく、便利な道具としてしか見なしていなかったのだろう。
怜音に懸賞金がかけられていなければ、裏切られることはなかったかもしれないが。
しかし、産まれてきた家のしきたりで、当主は敵対する悪鬼どもを拷問にかけて、殺さねばならなかった。
まともな神経をしていれば、心が壊れてしまうことを、いやいややり続けなければならなかった。
その掟から解放された怜音は幸せになれた。
邪王レオンは幸せで、心から愛する家族や仲間を幸せにしたいと感じている。
今、幸せなのは、前世である鬼山怜音の生もあったからだと思う。
だから、前世の人生も無駄じゃない。
幸せになれなかったからこそ、幸せになりたいという欲望で、人一倍努力して頑張れたのだ。
自分の本当にやりたいことを見つけられた。
「ねえ、これを言ったら、未来が変わるかな」
みんなには見えない、自転車型タイムマシンに話しかける。
『ソウデスネ。デモ、言いたいのデショウ?』
「うん」
レオンが独り言を急に言い出したことに、三人は驚いている。
「どうかした? レオン君」
「未来、変わる……? どゆコト?」
「きゅーてぃぼーい、何か見えておるのか?」
「うん。僕は二人のこどもの魂を持つ、未来から来た異世界の住人なんだ」
『アー……! 言ッチャッター!』
AIが頭を抱えていそうな声音で喋った。
「私達のコドモ……?」
「俺の子……? レオン君が?」
「何ィッ⁉ 真か⁉」
「真です。ビックリした? まあ、ホントは言うつもりなんて、なかったんだけどね。どうしてもお父さんを納得させたかったように見えたから、助け舟を出しちゃったよ、アハハー」
レオンはニコニコとした笑顔で、ケロッとした軽めの声で茶化すように言った。
「どうして、この時代に……?」
「それは、二人が禁断の恋をした理由を知りたかったからじゃないかな。どうして、わかっていて、僕を産んだんだろうとずっと思っていたから。この世界に来たのは、偶然。必然だったかもしれないけどね」




