この時代の鬼山の当主と会う
頼んでいた注文の品が到着した。
レーンの上に載ってきて、全員分の皿をテーブルの上に置く。
商品を取り終わると、自動でレーンに流されていく。
レオン達は手を合わせて、唱和した。
「「いただきます」」
「イタダキマス」
食べ物への感謝の気持ちを表す言葉。
育ちの良さがところどころ出ている。
武蔵は鬼山家の跡取りなので、当然の振る舞いだが、メリーは一般家庭の出身のはずだ。
品のある佇まいは、アメリカのレディとして当たり前のことなのだろうか。
メリーは大トロを咀嚼しつつ、ごっくんと飲み込んでから、切り出した。
「……それで、ムサシサン、私と付き合って欲しいんデスケド」
「家のしきたりで付き合えないんですよ。ごめんなさい」
「私、あきらめナイワヨ。あきらめの悪い女って、よく言われるモノ」
「食べ終わったら、家に連れて行くんでしょ? じゃあ先に既成事実つくっちゃえばいいんじゃないですか」
「レオン君……何を言い出すの……?」
「武蔵さんのお父さん、堅物なんですよね。だったら駆け落ちするくらいの覚悟がないと、一緒にはなれない。好きなんでしょ? メリーさんのこと。ずっと見ていれば、わかる」
「レオンクン、それホント? ムサシサン、私のこと好きナノ?」
メリーが口元に両手を当てて、頬を紅潮させて舞い上がっていた。
「バレてた……?」
アハハと笑いながらも、武蔵も同じように照れていた。
お似合いのバカップルだ。
食べ終わって、鬼山家に向かうことになった一同。
懐かしい我が家を見て、レオンは感慨深く思った。
風情はいつの時代も変わらない。
武蔵が玄関の鍵を開けると、腕を組んで仁王立ちになっている、頑固そうな爺が現れた。
「武蔵……! 貴様また見知らぬ者を連れてきおって……! うちは殺し屋にも狙われるような一家じゃぞ……! まるで危機感が足りておらん! 精進せい!」
帰って来るなり、地獄の底から鳴り響くような重低音で喝を入れられている武蔵。
武蔵は頭をぽりぽりとかいて、父にペコペコと頭を下げている。
社長に怒られる平社員のようだ。
「すみません、お父さん……。ですが、私、人を見る目はあると思います。ここに来てくださったメリーさんとレオン君は優しくていい人だと思います。ほら、レオン君は若い頃のお父さんにそっくりでしょう? 運命ですよ、運命」
「ふむ……。確かに似ておるな……。きゅーてぃぼーい」
あごひげをさすりつつ、レオンをまじまじと見つめる武蔵の父。
「あの……」
「なんじゃ、きゅーてぃぼーい」
「僕、貴方より年上なんですけど」
と言っても、未来の別世界から来たので、怜音の祖父の方が年上なのだが。
「な! 真か‼」
「真です」
「もしやお主は……不老不死?」
「大当たりです」




