それは多分嫉妬
「俺は貝類からいこうかな」
「貝好きナンデスネ! 何食べるんです?」
「ホタテと赤貝辺り。あさりの赤出汁も頼もうかな」
「へぇ……。私ハアワビが好きデスヨ」
「好きなものから聞くなんて、まるでお見合いみたいですね。そのうち、ご趣味は? とか聞き出す? 僕、邪魔者じゃないかな」
「そんなことないよ。レオン君にはいて欲しい」
「たとえこれがお見合いみたいなモノだとしても、一緒にいてくれると安心するのヨ」
それが家族の絆なのだろうか。
レオンが生まれてからすぐに死んだメリー。
顔は写真でしか見たことがない。
写真映りが良くて、とても美人だった。
実物は写真よりも美しい。
色鮮やかでまぶしくて、女神のように優しくて。
だから出会えたことは素直に嬉しい。
彼女の知らない面をたくさん見られて、レオンは幸せを感じている。
「そっか……。メリーさんとは初対面だけどね」
「俺は? 会ったことある?」
「まあ……貴方は有名人だし。だけど騒がれないな」
「変装してるからじゃないかな」
「変装なんて、Halloweenの仮装みたいデスネ」
「じゃあ仮装してみます?」
悪戯っぽく笑う武蔵。メリーはニコニコと天使のような笑顔。
「イイデスネ! 私、チェシャ猫がイイワ」
「じゃあ俺は吸血鬼かな?」
「【血鬼】が吸血鬼をやったら、ややこしいよ」
「まあまあ。レオン君は何やりたい?」
「カボチャマント……」
「カボチャマントっていうキャラはいないんじゃないかなー……?」
「顔を隠せるし、マントはかっこいいし、便利だと思います」
「レオン君って、意外とそういうの、ノリノリでやりそうだね」
苦笑いする武蔵とメリー。
レオンは図星だった。
誰よりも仮装を楽しみ、劇場型の芝居じみた演技で目立ちたがる気質である。
少々奇抜な恰好をして、人目を浴びるのも実は好きなのだ。
誰に似たのかはわからないが。
「私は、レオンクンの顔好きだカラ、隠さナイデ欲しいワ」
「武蔵さんよりも?」
「え?」
メリーはびっくりした顔をしていた。
レオンも鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。
こんな台詞、言うつもりなかったのに、と。
武蔵は平然とした表情で二人を見ていた。
「どうして比べたがるんだよ。レオン君、もしかして俺にやきもち焼いてる?」
「いや、そんなことは」
ぶんぶんぶんと首を振って、レオンは大仰に否定した。
「本当に~?」
意地の悪い笑みで、武蔵がレオンをからかう。
「まァ、これが俗に言う、私のタメニ争わないでー‼ ナノネ」
メリーはけらけらと軽快な笑いを漏らしていた。
レオンは違う‼ と必死に否定する。
二人は仲良く、レオンをからかっていた。




