プロローグ 【創魔界】(アルケミア)と地球
転生した世界は【創魔界】という。
転生したとき、この世界の神に教えられた。
あらゆる力や粒子に満ちていて、簡単に強大な力を行使できる、夢のような五次元の世界だ。
まるで怜音の願いに呼応して、現れた世界であるかのように。
邪王レオンが扱えるのは、重力だけじゃない。
テレパシーといった超能力や五大元素や血なども操れる。
あらゆる力が特別な王であるレオンの前に平伏す。
神のように、新たな血族も生み出せる。
人間の営みをしなくても、人口を増やせるのだ。
この世界の祖先である、神王、魔王、そして邪王は、神の思い通りに勢力を拡げていった。
神王ザッハ・トルティーヤは、銀髪金目の修道服を着た、神に仕える神族の王。彼は真面目で謙虚な性格をしている。身長は百七十六cm。
魔王ベアルト・リースは、金髪赤目の黒と金の軍服を着た、魔族の王。常に長剣を持ち歩いている。戦闘狂で茶目っ気溢れる末っ子気質の性格をしている。身長は百六十cmで低め。
レオンはこの二人と仲が良く、一緒にいることが多い。
レオンが【創魔界】に来てから、約百年が経過した。
「魔王がそろそろ代替わりするそうだ」
神王城の一室で、神王が言った。
「まだ百年も経っていないというのに、短いものだな」
レオンは格好付けて話す。
昔のような柔らかい口調ではなく、王たる威厳を意識した話し方だ。
下位の者の前に出るとき、優しそうな王だと舐められるかもしれないと思ってのこと。
「邪王は眷属をつくらないのか」
「つくるさ。いずれ。悠久の時を生きることになるから、急がぬだけで」
レオンは遠くを見据えて呟くように話した。
みんなが死ねば、鬱屈した日々が待っている。
前世とほとんど変わらぬ地獄の日々が。
それを回避する方法はないものか、と逡巡する。
「そうだったな。お前は不死だ。退屈だな」
「神王もいなくなるからな。余の前から」
「ああ。老いて死ぬ。お前のように唯一無二の存在ではないから、子孫を残す」
「オレは死ぬ前に一度別世界に行きたい。そこで科学を教えてもらうのだ。どんな原理で力を行使できるのか、知りたくてな」
「魔王、余の前世は地球人だ。地球に行きたいのか?」
「ああ。こちらには、地球を知っている者が多くてな」
レオンは拳を握って立ち上がった。
「ならば行こう。できる限り友好的に」
「戦になれば我々が負けることなどないが」
魔王は訝しげな顔をして口を挟んだ。
「奪いに行くんじゃない。できる限り避けよ、戦争を」
「邪王の言う通りだ。穏便に事を運ぼう」
「どうやって行くのだ?」
「次元移動できる船を使う」
「つくれるのか、それも簡単に。お前はよく新しいものをつくるな」
神王がビックリした顔をする。魔王も同様。
「送り込めるだけ送り込む。だが少ない方が友好関係を結びやすいかもしれぬ」
「十人程度ならば、良いか?」
魔王が顎に手を当てて、首を傾げる。
レオンは頷く。
「人間の中には、宇宙人の存在も知らない者がいる。彼らにとっては、我らは宇宙人ではないか?」
「そうだな。宇宙人よりも厄介な力を統べる王だ」
「争いにならねば良いが」
そうして、次元移動できる空飛ぶ船を使って、地球へと旅立った。




